第45回
世界遺産と茶摘み体験
2015.10.27 [内山 悟志]
これまで何回かにわたって大人の社会科見学を題材にしてきたが、今回もその流れを汲んで茶摘み体験を紹介する。
今回訪れたのは静岡県伊豆の国市にある「蔵屋鳴沢」で、伊豆箱根鉄道駿豆線「伊豆長岡」駅からは徒歩20分だが、土日祝日には1時間に1本程度無料の送迎バスも往復している。
さて、実はこの場所は最近になってにわかに注目が高まっている。それは、隣接する「韮山反射炉」が世界遺産に登録されたためだ。
茶摘み体験の前に韮山反射炉を見学したので、まずはそちらから紹介することとしよう。
韮山反射炉(にらやまはんしゃろ)は、静岡県伊豆の国市にある、日本で唯一現存する実用反射炉であり、1922年(大正11年)に敷地も含めて国の史跡に指定され、2007年(平成19年)には経済産業省により近代化産業遺産に認定されていた。また、2009年には、萩反射炉などと共に九州・山口の近代化産業遺産群の構成資産としてユネスコの世界遺産(文化遺産)暫定リストへ掲載されていた。それが、2015年7月に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として正式登録されたことから一躍注目されることとなった。
2015年に世界遺産となったに矢山反射炉
さて、そもそも反射炉とは何かということであるが、一言で言うと、鉄砲や大砲を鋳造するための炉である。
韮山代官であった江川英龍が、1840年(天保11年)にアヘン戦争に危機感を覚え、海防政策の一つとして、鉄砲を鋳造するために必要な反射炉の建設を計画したのが発端となり、1853年(嘉永6年)の黒船来航を受けて、江戸幕府直営の反射炉として築造が決定されたとされる。
1853年には、伊豆下田で築造が開始されたが、翌1854年(安政元年)ペリー艦隊の水兵が敷地内に侵入したため、機密を守るために伊豆韮山に築造場所が変更され、1857年(安政4年)に完成したということだ。石炭などを燃料として発生させた炎と熱を炉内の天井で反射し、集中させることで鉄を溶かすことから反射炉と呼ばれるそうだ。
入場料100円で4基の炉を見学することができ、案内係のおじさんが歴史や構造を詳しく説明してくれる。
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