内山悟志の悠々快適エイジレスライフ

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第11回
情報セキュリティ意識にみる世代間格差

筆者はエイジレスライフ・アナリストであると同時にITアナリストでもあるので、たまにはITアナリスト的な題材も取り上げよう。今回は、情報セキュリティ意識の世代間格差とエイジレスライフ世代にとっても安心快適なデジタルライフの実現に向けて考察する。

世界で最も早期に超高齢社会に突入した我が国において、情報化が広く普及する以前に現役世代を終えた年齢層がいかに安全で快適なデジタル環境の恩恵を享受できるかが問われている。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)による2012年度の「情報セキュリティの脅威に対する意識調査」によると、一日当たりのインターネット利用時間の平均は10代から60歳代までほとんど差異がない。つまり、高齢者はパソコンやインターネットを利用しないという時代はすでに過去のものとなったといえる。それでは、この世代のセキュリティ意識はどのような状況といえるのだろうか。同調査では、「知らない差出人から届いたメールを開いたり、添付ファイルを開いたりすること」「セキュリティソフトをインストールしていないパソコンでインターネットに接続すること」といったセキュリティの観点から懸念がありそうな7つの行為に対して60歳以上が最も慎重な姿勢を示す結果となった。一連の調査結果は全般的に10代・20代の若者はセキュリティに対して無頓着であり、逆に50歳代以上が慎重である傾向となっている。一方、2013年度の同調査によると「スパイウェア」「フィッシング詐欺」「標的型攻撃」といったセキュリティ関連の脅威に関する用語の認知度において60歳代・70歳代以上が最も低い結果を示した(図1)。つまり、高齢世代が情報セキュリティに対して慎重なのはセキュリティに対して知識レベルが低いことに起因しているという仮説が成り立つ。確かに、知らないことに対しては不安が大きくなる傾向はどんなことについてもいえることだろう。

図1.世代別にみる情報セキュリティに関する攻撃・脅威の認知


※認知率は、「詳しく内容を知っている」「ある程度知っている」「名前を聞いたことがある」のいずれかを選択した人の割合を示す。
出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「2013年度情報セキュリティの脅威に対する意識調査」

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