第5回
自治体の地域デビュー講座に注目!
2011.11.08 [松本 すみ子]
地域デビュー講座
秋です。じっくり学ぶにはとてもよい季節。10月からカルチャーセンターや大学の公開講座などの秋講座を受講し始めた人は多いのではないでしょうか。大学の講座は最近充実していて、それぞれの専門や特徴を生かしたユニーク講座がたくさんあります。大学のキャンパスで、久しぶりの学生気分を味わうなんてことも、刺激なっていいかも。
でも、私が今回おすすめするのは、自治体が主催するリタイア世代向け地域回帰推進事業での講座。みなさん、案外ご存知ないようなんです。
地域回帰推進事業?
地域回帰推進事業とは何でしょうか。一言でいうと、リタイア世代に的を絞った地域デビューのための講座です。ある自治体の実施計画文書には、目的として次のように記されています。
「定年後の人生設計・生きがいづくりに役立つ講座を実施するとともに、地域・NPO活動またはコミュニティービジネスを志向する知識・経験の豊かな団塊人材を発掘・育成し、地域課題・ニーズに即した活躍モデルの形成と組織づくりを支援して、地域・NPO活動を活性化する。」
つまり、仕事をリタイアしたものの、まだまだ元気なシニア世代に地域デビューをしてもらい、今までの経験を生かして活動し、地域社会を盛り上げてほしい、自治体はそのために必要な学習講座や情報提供を行いますということなのです。
この取り組みは、今に始まったことではありません。特に郊外などの居住地を抱えた自治体は、2003~4年ごろからいち早く取り組みを開始しました。それは2007年問題対策でした。2007年から団塊の世代の定年退職が始まり、日常的に地域社会で暮らすようになります。彼らに生きがいを見出し、元気で健康的な生活を営んでもらわないと、福祉や介護の費用が増える可能性があります。
また、地域社会は昔とは比べようがないほどグローバル化・多様化しており、自治体のやるべき住民サービスは山積です。しかし、定年退職者が増えれば税収は減少し、予算は不足。さらに、今後、公務員の数が増えることはありません。自治体の住民サービスは難しい段階に入っているのです。
そこで、福祉、教育、文化、環境保護、まちづくりなど市民が関わりやすいサービス分野は、市民の協力を得たい、市民ができることは市民の手に委ねたい、市民との協同事業としてやっていきたいという施策を進めています。それを実現するためには、能力と経験のあるシニア世代の発掘、やる気と埋もれている彼らの力を引き出すことが肝心です。だから、自治体は地域デビュー講座に力を入れているというわけです。
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