第9回
シニアに便利なコンビニとは?
2012.02.14 [松本 すみ子]
コンビニのターゲットは中高年
蔦屋書店
日本には現在、約4万5千店のコンビニがあるそうです。国内はほとんど飽和状態なので、海外への進出が今後の主要方針のようですが、国内であっても中高年市場にはポテンシャルがありそうです。今や日本の人口の約45%は50代以上の中高年。そこへの積極的な展開が必要だということは、どのコンビニでも共通の認識です。
ただ、コンビニは、実はかなり前から、重要ターゲットとして中高年対策を行ってきました。セブンイレブンが女優の吉行和子さんを使って、シニア層を意識した広告を盛んに打っていたのは2007年ごろだったでしょうか。また、50代の社員が開発した健康志向のお弁当を販売などという話題もありました。ローソンのデータでは、50歳以上の利用者は、1999年の20%から2011年には36%に増加。とはいえ、利用はまだまだのようです。
あるコンビニ関係者の話では、特にシニア世代には、公共料金の支払い、宅配便、キャッシュディスペンサー、チケットの受取りなどの、いわゆるサービス部分があまり知られていないとか。確かに、先日、私が担当する日経ラジオ「松本すみ子のルート“60’s”」(*)でコンビニを取り上げた時も、コンビニがネットショップを展開していること、さらには宅配便の扱いを行っていることすら知らない人がいました。
急場しのぎの日用雑貨店くらいにしか思われていないとすれば、スーパーマーケットには勝てそうもありません。買物だけでないコンビニ活用をどう促すか。これが重要課題です。
ファミマの「おとなコンビニ」を覗いてみた
おとなコンビニ研究所マークの商品
しかし、ここにきて、また新しい動きが見えてきました。最近、コンビニの中高年対策で目立つのはファミリーマート。2010年に、メディアプロデューサーの残間里江子さんが主催するシニアコミュニティー「クラブ・ウィルビー」と共同で「おとなコンビニ研究所」を設立し、中高年層向けの商品・サービスの開発に力を入れ始めました。
その取り組みの一つが、2011年末に代官山にオープンした50~65歳顧客向けのアンテナショップ。ファミマが考える「おとなコンビニ」とはどんなものか。開店まもないある日、早速、立ち寄ってみました。
場所は、代官山から歩いて12、3分ほどの「蔦屋書店」内にあります。この「蔦屋書店」も、“おとな”をキーワードに昨年末にオープンしたばかりの書店。CDやDVDレンタルの「TSUTSYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が手掛けています。ただ、ここはレンタルが主流ではなく、大人向けの趣味や教養関係の書籍を販売する書店として展開、いかにもオシャレな空間に本や雑誌が並んでいます。
CCCも、最近は「OTONA TSUTAYA」をコンセプトに掲げ、団塊世代を中心にした商品やサービスの強化を図っています。「おとな」というコンセプトが一致し、相乗効果を狙った結果、同じ場所に店舗を構えたということでしょう。「OTONA TSUTAYA」に関しては、また別途、取り上げたいと思います。
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