第23回
野菜って調理方法によって栄養価が変わるんです〈その2〉
2012.05.01 [大西 ひとみ]
前回は、野菜を「ゆでる」「煮る」「蒸す」でどう栄養価が変わるかについてお話しましたが、今回は「焼く」と「いためる」ではどう栄養価が変わるかについてお話ししたいと思います。
焼く
「焼く」という調理法は、大きく分けると3種類に分けられます。1つ目は、フライパンなどを使って加熱する方法。2つ目は、火にかざして食材を直接加熱する方法。3つ目は、オーブンなどを使ってヒーターからの熱で加熱する方法です。
どれも、食材の表面温度が上がることで水分が蒸発し、100度を超えるとその部分が化学反応を起こして焼き物独特の「褐色物質」が作られます。「褐色物質」といわれるとピンとこないかもしれませんが、いわゆる焼き色や焦げのことです。
食材の焼き色は、糖とアミノ酸が反応してできる「アミノ・カルボニル反応」と呼ばれていて、その反応によって作られる褐色物質は「メラノイジン」と呼ばれています。これらの名称をわざわざ覚える必要はないですが、このメラノイジンと呼ばれる物質は抗酸化物質であることが近年明らかになったので、食材を焼くことは健康や美容により良い効果があるということだけは覚えておいてください。
アスパラガスやキャベツなど淡白な味わいの野菜は、焼くことで野菜から水分が抜けて糖分やうまみ成分が濃縮され、細胞の中から糖分やうま味が出て味らい(舌などにある味を感じる部分)に触れやすくなるので、より食事を楽しむことができます。
ただ、肉や野菜などを焼く場合、温度が高いほど(100度以上)、また加熱時間が長いほど、ビタミンB1やB2、ビタミンCなどビタミン類の損失が大きくなります。温度や加熱時間に少し気を配るだけで、同じ食材でも栄養価は大きく変わるのです。
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