旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

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第15回
シンプルな簡単鍋「白菜」と豚肉のミルフィーユ鍋

冬の鍋物に欠かせない「白菜」。漬物やキムチなどにも欠かせない存在ですが、鍋物に使うと、中途半端に残ってしまうのが、悩みの種、と言う方も少なくないでしょう。一度の鍋で「白菜」を主役にし、他の材料は豚肉だけ!というシンプルなミルフィーユ鍋をご紹介します。


■「白菜」の歴史

原産国は中国で、7世紀ころから既に栽培が始まっていました。野生の植物ではなく、「ツケナ」と呼ばれる蕪、小松菜、水菜など同じアブラナ科の野菜が交雑して生まれた植物です。特に蕪の影響が大きく出ていて、蕪の付け根を切り落とした時に見られる、バラの花びらのような、円を描きながら重なっている形状が白菜の葉の重なりにそのまま反映されています。また白菜の下部の膨らみも、蕪の影響で、現在のような形になったのは、11世紀頃に定着したようです。今では和食や、冬の鍋物では欠かせない存在ですが、日本に入ってきたのは、明治時代に入ってから。当時の清国政府(現在の中国)から種が贈られたのが始まりだと言われています。クセがなく、育てやすいことから、全国に栽培が広がりました。

■「白菜」の特徴

旬の時期は冬ですが、近年は、土地の温度の改良も進み、冷涼地なら夏でも栽培できるようになりました。90%が水分なので、新鮮なものは、切り口から水滴が垂れてきます。また加熱しても煮崩れしにくいので、鍋物や煮込み料理などに重宝されています。白菜の表面に時折見かける黒い斑点は、「ゴマ症」と呼ばれるもので、品質が悪いわけではありません。微生物やカビ、農薬などではなく、ポリフェノールです。表面にこの黒い斑点がついていると、むしろ熟成が進み、甘く美味しくなっているサインです。ただ、熟成が進んでいるので、早めに食べきるようにしましょう。また、水分が多いことから、加熱すると約半量のカサになるので、鍋物にはたっぷり目に入れるようにしてください。

■「白菜」の栄養など

白菜は、カリウムが豊富に含まれており、余分な塩分を体外に排出してくれる役目があります。またカリウムは体内の老廃物を排出する役目もあるので、忘年会などで暴飲暴食の日が続く場合は、しっかりと食べておきましょう。またアブラナ科の植物特有のスルフォラファンや、インドール化合物が含まれるため、ガン予防効果にも期待できます。ビタミンCも含まれますが、加熱で流れ出るので、鍋物やスープなど、汁ごと頂ける料理に使って、汁ごと頂くようにしましょう。



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