名医に聞く

バックナンバー

第7回
〈慢性副鼻腔炎〉 発症から半年~1年以内なら保存療法、それ以上の場合は手術が必要

長引く急性副鼻腔炎 3カ月経過で慢性と診断される

非常にポピュラーな病気の1つ「慢性副鼻腔炎」。

耳鼻咽喉科では、花粉症などの「アレルギー性鼻炎」に次いで多い病気だという。

副鼻腔炎は、鼻腔(鼻の中央にある空気の通り道)の周囲にある上顎洞(じょうがくどう)、篩骨洞(しこつどう)、前頭洞、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)という4種類の空洞(副鼻腔)のいずれかに炎症が起きている状態を指す。

風邪などで鼻腔にウイルスや細菌が感染し、さらに自然口(副鼻腔と鼻腔がつながり、空気が出入りしている小さな孔)を通じて副鼻腔にも感染するのが「急性副鼻腔炎」だ。孔の通りが悪くなり、副鼻腔内に膿が溜まってしまう。黄色い鼻汁が出て、鼻をかむのが痛い、風邪を引いた時の“あの”状態だ。通常は1~2週間で治るが、治りきらなかったり再発を繰り返すうちに炎症が悪化して粘膜が腫れたり、膿がたまっている状態が続くことがある。こうした状態が3カ月以上続くと慢性副鼻腔炎と診断される。

「ほとんどの人は風邪を引いても、慢性に移行することはありません。しかし、ときに体調が悪かったり、免疫が落ちていたりすると慢性に移行してしまいます。その場合でも、早い時期ならマクロライド系抗菌薬という薬の服用によって治すことができます。でも、半年~1年が過ぎると、粘膜がもとに戻らなくなり、薬物療法だけでは治せなくなります」(東京慈恵会医科大学の森山寛医師)

腫れがひどい場合には、鼻茸というポリープができることも

慢性副鼻腔炎になると、副鼻腔は粘液が排出しにくくなり、ウイルスや細菌などの死骸を含む膿が内部にたまる。腫れた粘膜がきのこのように飛び出した「鼻茸(はなたけ)」が鼻腔にできることもある。鼻茸ができると、鼻腔の空気の通りがさらに悪化するため、鼻汁、鼻づまり、嗅覚異常、頭痛感などの症状が現れる。

「検査はまず問診です。いつごろからどんな症状がありますかと。そういえば半年前に風邪を引いて、そのあとずっと黄色い鼻が続いているとかいう場合には、慢性副鼻腔炎を疑います。次は視診、鼻のなかを見る。鼻腔の状況からアレルギーの有無などを調べるわけですが、見えにくい奥の部分は内視鏡を使います。そうして問診と視診で副鼻腔炎が疑われる場合には、レントゲンやCTを撮ります。粘膜の腫れや、膿がたまっているのが判れば、診断がつきます。鼻汁をとり、細菌を培養して原因菌を調べたり、血液検査でアレルギーの有無などを調べることもありますね」(同)

コメント