名医に聞く

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第23回
ED(勃起不全)薬で容易に治療可能。80代でも大丈夫

ED(イーディー)とは、性交時に十分な勃起(ぼっき)やその維持ができずに、満足な性交が行えない状態のこと。

「日本では50代の20%、60代は30〜40%、70代は60%がEDを自覚しています」と説明してくれたのは東京歯科大学市川総合病院・泌尿器科教授の丸茂健医師だ。

日本性機能学会理事長も務める同医師のもとには、20代~80代まで、幅広い世代の患者がやってくるという。

それにしても、加齢にともなって勃起能力が落ちてくるのは自然の摂理。若い世代ならともかく80代などの高齢者のEDは「病気」と呼べるのかと尋ねると、同医師は首を振った。

「それによって生活の質が著しく損なわれると本人が自覚し、治療を必要とするのであれば、高齢者であっても病気と考えていいと思います」

とはいえ、健康保険は適用外。

EDを引き起こす因子は、ストレス、うつ病などの心因性要因、加齢に伴って起こる男性ホルモンの分泌量の低下と陰茎の構造の変化、高血圧、糖尿病などの病気、さらにこれらの病気の治療薬などさまざまだ。

「男性ホルモンの低下は、いわゆる男性更年期障害と呼ばれる一連の症状を引き起こします。女性の更年期障害と同じで、ほてり、発汗、倦怠(けんたい)感、睡眠障害などもあれば、イライラや抑うつ感など精神症状が起こることもあるのですが、EDもこれらの症状の1つなのです」(同)

ED治療薬は現在バイアグラ等3種類

検査の主軸は問診と血液・尿の検査だ。

問診はEDの発現状況、罹病(りびょう)期間、性歴を知ることにより、およその原因の推定を可能にする。
また服用している薬剤を正確に知ることは、薬剤による勃起障害との鑑別と、ED治療薬と一緒に服用すると命が危うくなるほど血圧を低下させてしまう硝酸剤(ニトログリセリン)など相性が悪い薬の内服の有無を確認するために欠かせない。
血液・尿検査は、EDを引き起こす糖尿病等の疾患の有無を調べるために行う。
加えて、男性ホルモンの検査を行うこともある。

治療の主流は薬物療法だ。

日本では現在治療薬として、バイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類がある。

「効き目はほとんど同じです。どれも1時間以内に効いてくるため、行為の1時間前に服用するよう指導しています。 バイアグラはお腹いっぱいのときに飲むと効果が出るまでに時間がかかるんですが、レビトラは食事の影響を受けにくい。シアリスは、内服してから長時間効果が持続するのが特徴です。
どれを使うかは、こうした特徴を説明し、患者さんのニーズに一番合ったものを選んでもらうようにしています」

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