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第31回
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)。安易な手術は避け、運動療法での改善が大事

軟骨のすり減りだけでなく、膝(ひざ)関節全体に関係する疾患

最初は立ち上がりや歩きはじめなど、動作の開始時に膝(ひざ)にズキっと来る痛み。
「あ、痛たたた」とは思っても、動いているうちに気にならない、あるいはちょっと休めば痛みはとれていたのが、徐々に正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がピンと伸びず歩行が困難になる膝の病気が「変形性膝関節症」。
男女比は1:4で女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患(りかん)率は高くなる。
主な症状は、膝の痛みと水がたまること。

「膝関節の種々の老化により、膝の関節に炎症が起きて水がたまり、軟骨が摩耗し、関節が変形したり痛みが生じる病気です。
主として軟骨のダメージが原因といわれていますが、実際は、軟骨のほかにも、関節は硬くなり、半月板も減り、靭帯(じんたい)ももろくなり、周囲の筋肉は弱ってくる…というように、膝関節全体に関係しています」
そう教えてくれたのは、膝関節の名医として知られる東京医科歯科大学の宗田大(むねた・たけし)医師。

「肥満や素因(遺伝子)が関与し、骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿(かのう)性関節炎などの感染の後遺症として発症することもあります。
また軟骨が弱い人、筋肉や筋が硬く痛みに敏感な人は、若くても痛みが出やすいです」
と注意を促す。
高齢者に起こりやすい疾患ではあるが、若くても油断は禁物だ。

保存療法がしっかりできれば、手術なしで治せる

痛みを感じたら整形外科へ。
診断は、問診、視診や触診で、主に膝内側の圧痛の有無、関節の動きの範囲、腫(は)れやO脚変形などの有無を調べ、X線(レントゲン)検査、関節液検査等によって行う。レントゲンは、ひざを曲げて体重をかけた状態で撮影をすることが大切。必要によりMRI検査なども行う。

「レントゲン検査でもMRI検査でも、画像だけで話を聞かず診断しようとする医師はお勧めできません。触診もしっかり行って診断してくれる医師を選びましょう」
と宗田医師はアドバイスする。

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