第7回
セカンドオピニオンで糖尿病腎症を発見、正常に戻ったYさんの場合
2012.08.28 [「病気・病院・医者」]
病歴10年目にして初の尿アルブミン検査
Yさんは50代。
IT関係の仕事をしている。
「今の主治医に不満はないんですが、牧田先生のホームページを見て、糖尿病専門医ってどんな感じかなのか興味がわいて受診してみました」
とのこと。
糖尿病歴はすでに10年を超え、過去には2週間の「糖尿病教育入院」を体験したこともあるベテラン患者だ。
ちなみに「糖尿病教育入院」とは、“重症だから入院になる”というたぐいの入院ではなく、糖尿病について深く理解するための入院であり、2週間を1クールとして、医師、看護師、薬剤師、栄養士、臨床検査技師、理学療法士による指導を受ける。
この連載でも何度も述べているが、糖尿病は一度なってしまったら決して治らない。
ゆえに患者は一生この病と付き合っていかなければならないため、「上手な付き合い方を学ぶ入院」を実施している病院は多いのだ。
Yさんも、初めて糖尿病と診断された際、教育入院をした。
「あのとき、4年ぶりに健康診断を受けました。
前回までは、血糖値が若干高めで、糖尿病予備軍ですよと言われていましたが、ほとんど気にしていませんでした。むしろ酒を結構飲むのでγ-GTPが高いことのほうを心配していましたね。
ところが検診日の最後に、若い医者から尿糖が高いと言われて。さらに後日、送られてきた結果を見ると、食事前の血糖値が275、ヘモグロビンA1cも11.3とかなり高くて、『精密検査を受け、治療を要する』とありました。
総コレステロールと中性脂肪の値も高くて、脂質異常症になっていました。
ショックでしたね。
そういえば、いつものどが渇いて、水をがぶ飲みしていたし、おしっこも多かった。
生活は、不摂生そのもの。
ビールやワイン毎日のように飲み、揚げ物と甘い物が大好きで、野菜は嫌い。
大食いで、運動も全くしていなかった。
自業自得と思いつつも、涙が出ました」
さっそく教育入院し、退院したYさんは、病気に対する知識もバッチリ。
「一病息災」をめざして健康的な毎日を送り、現在に至っている。
糖尿病手帳もしっかり記入し、血糖値のコントロールも万全で、ある意味自信満々の体制で、牧田医師の診察にのぞんだのだった。
「血糖値はずっと110~120の間ですし、ヘモグロビンA1cも過去2年間6~7で来ていましたからね。
糖尿病は油断すると悪化するけれど、自己管理をきちんとしてさえいれば、全然心配する必要はないと思っていました」
ところが、牧田医師の診察で、軽度の糖尿病神経障害と糖尿病腎症が発覚。
「これまで受けたことがない検査がいくつかありましてね。
アルミ製の音叉(おんさ)を手首にあてる検査で、神経障害が。
尿アルプミン検査で糖尿病腎症が分かったんです。
血の気が引きました。
だって血糖値もヘモグロビンAc1の管理も万全だったんですよ。
なのに合併症。それも腎症については、尿アルブミン値の基準値が0~18のところ、40近くもあったんです。
俺は人工透析を受けることになるのか!と暗い気持ちになりました」
しかし、幸いなことにYさんの尿アルブミン値は8か月で見事に正常化。
現在に至っている。
「テルミサルタという薬が効きました。
糖尿病腎症の特効薬だそうです。助かりました!」
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