第21回
「なぜ 今 時代劇か」~時代劇を現代的視点で追う~
2016.06.14 [寒川晶子]
時代劇といえば、一時期ゴールデンタイムにテレビ放送があったものをよく見かけましたが義理と人情がたっぷり描かれ、現在ご高齢になられている方の中には時代劇を見て育った、という方が多いかと思います。最近はめっきり見る機会が減ったような…。
DVD制作のきっかけは、現在における犯罪の悪質さや絶えない事件の数々に、日本人がなにかすっぽりと忘れてしまった心があるのではないだろうかと気づいた「とある方」が立ち上がり、時代劇を現代の視点でもう一度見直すことで日本人の心を見つめることができるではないかというメッセージが生まれたことでした。その方は、八木卓男さんという方(株式会社ヴイワン)で、八木さんの強い思いにより、3年ほどの月日をかけて構想されたものがついに昨年、公開収録というかたちで実現に向かったのです。
リハーサル時の様子1
リハーサル時の様子2
新宿文化センター小ホールにて、高座とピアノが同じ舞台に並ぶという異色の空間。 でも、なんだか美しい色の組み合わせで舞台に違和感がまったくないですね。
第一部が落語によるもので、ちょんまげじいさんが登場します。落語は林家彦いち師匠と古今亭志ん八師匠のご出演。
「ちょんまげじいさんの薬箱」
「ニッポンの夜明けは遠い」
「ちょんまげじいさんのドタバタ井戸端会議」
の3作品。
ちょんまげじいさんとは企画者の八木さんがモデルになっているのですが、新作落語書き下ろしになっておりとてもスペシャルな空間が展開され、彦いち師匠と八木さんの対談も同時に収録されました。
二部は講談による時代劇の紹介です。
「座頭市物語」
「宮本武蔵 一乗寺の決斗」
「眠狂四郎 勝負」
「鞍馬天狗 角兵衛獅子」
の4作品を語り(講談)によって現代的視点で時代劇を見直します。
講談師は神田すみれ先生のご出演でしたが、すみれ先生の語りと、今回の公開収録のためにナビゲーターを務められた天野まりさんとの対談がある二部の中で、私は時代劇4作品の前後でピアノを少しだけ演奏しました。演奏した作品はいずれも著名なクラシックピアノ曲でお送りしましたが、音楽は各作品の間で挿入し、色を変化させるための風のような役割でした。
落語も講談もご一緒させていただくのは私にとって初めてのことでしたが、 初めての世界を拝見し各界の大御所であるご出演者、彦いち師匠やすみれ先生ともお話しさせていただき刺激がありながらも和やかな一日を過ごさせていただきました。
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