第29回
美しさと迫力を兼ね備えた桜 ~福島県二本松市・合戦場のしだれ桜~
2016.03.23 [秋野 深]
これから2カ月間ほど、日本全国で様々なタイプの桜が楽しめますね。川沿いの土手にどこまでも続く桜並木、山中に凛と立つ一本桜、寺社の境内に静かに佇む桜など・・・それぞれに趣があるものです。
私がこれまで目にした数々の桜の中で印象に残っているのは、福島県二本松市の合戦場(かっせんば)のしだれ桜です。平安時代に奥州討伐でこの地を訪れた八幡太郎義家が、豪族の阿倍氏と戦った場所に咲いていることからその名がつけられたそうです。遠目には一本桜に見えるのですが、実は二本の桜が並んでいて、樹齢は推定で約200年ともいわれています。
桜の下の斜面には菜の花畑が広がっていて、ちょうど桜の時期には、しだれ桜のピンクと菜の花の黄色の見事な共演が楽しめます。さらに晴天に恵まれれば、そこに穏やかな春の青空が加わり、季節感溢れる色彩美で合戦場の丘一帯が彩られるのです。
枝ぶりも、まさに滝桜と呼ぶにふさわしく、黄色の菜の花畑へと垂れた枝が桜を導き流れ落ちるよう。そして、春風が枝をやさしく揺らせば、菜の花と共にそよぐ美しいカーテンのようです。
【写真1】
【写真2】
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