第14回
ミツコ感覚
2011.11.01 [島 敏光]
心がゾワゾワする。
この映画は喜劇なのだろう。
かなり笑えるが、お腹の底からは笑えない。
シュールなくせに、あまりにも身近で、ナマナマしく、他人事とは思えない。
主人公はミツコ(初音映莉子)とその姉でOLのエミ(石橋けい)。
ミツコには変態ストーカー(三浦俊輔)が、
エミには不倫相手でもある上司(古館寛治)が、常につきまとっている。
ミツコは写真家になりたいようだが、これといった行動は起こさず、とりあえずスナックでアルバイト。エミはエミでダラダラと不倫を続けている。
登場人物全員が中途半端な立ち位置にいて、それぞれが中途半端な対応をする。
中途半端でないのは確固たる人生を歩いてきたらしいスナックのママだけ。
ストーカーは自分の姉(らしき人)を連れて、ミツコの家に日ごろの無礼をあやまりに来る。
図々しいんだか、殊勝なんだか分からない。
エミの不倫相手は、妻に二人の関係を報告したのはいいが、エミの後輩にも色目を使っている。
皆、ちょっとずつイヤな奴だ。
ミツコ、エミ、ストーカー、不倫相手、スナックのママ、エミの後輩……すべての役者たちが驚くべき自然な演技を見せる。
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