荒野のエッセイスト(映画編)

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第6回
紙兎(カミウサギ)ロペ
リアルでシュールな会話にハマる

映画リポーター出身の物書きとしては、
映画は試写会で見ることが圧倒的に多いが、
本来なら映画館で見たいと思っている。
その理由としては
①画面が大きい
②一緒に見ているのが一般客なので反応が素直
③時にはおまけの映像を楽しむことができる
以上の3点が挙げられる。
今回はその③の話。
皆さんはギフト・ムービーという言葉を聞いた
ことがありますか?

本編の前に上映されるショートムービーで、
その代表格が「紙兎ロペ」である。
内容は――
「下町を舞台に
紙ウサギ「ロペ」と紙リス「アキラ先輩」の2人が、
映画館へ行くまでの珍道中を描いた
ショートアニメーション」
僕はこれが始まると、もううれしくてたまらない。
本編が多少つまらなくてもOK、
これだけで元を取った、という気分になる。
「マジすか?」が口ぐせのややもっさりしたロペが主人公で、
そこにかん高い声のアキラ先輩がからんでくる。

第一話では、ロペがかねがね欲しがっていた何かを受け取るため、
商店街に向かうその途中、アキラ先輩に出会ってしまう。
先輩は相手の都合を全く無視して
「昨日生まれて初めて金縛りにあっちゃってさあ」
と一方的にしゃべり始める。
ロペは「マジすか?」などと相づちを打ち、
結果的には商店街に行くことができず、
映画に付き合われそうな気配……。
そこに「つづく」のクレジット……。

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