荒野のエッセイスト(映画編)

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第33回
お気に入りのプログラム ジェーン・フォンダの巻

僕はついにプログラムの収集にけじめをつけた。
理由は単純。
もう保管する場所がないからだ。

僕は今から半世紀ほど前に
「おかしなおかしなおかしな世界」を見て、
そのプログラムを買い、
映画とプログラムのとりこになった。
それからせっせと映画を見続け、
お小遣いをはたいてプログラムを買い続けた。

コレクションの特性は
「減らない」
ということである。
ひたすらに増え続ける。
いつしかその数は10000冊にふくれ上がった。
部屋の中はプログラムで埋もれ、
足の踏み場どころか、生活のスペースさえ失われていく。
これではいけない。
いつか窒息してしまう。
どこかで区切りをつけなければならないと思い、
2001年から断腸の思いでプログラムの購入をストップ。
20世紀のプログラムだけにしぼり、
あとは買いそびれた古いプログラムを補充するだけ。
と固く心に誓った。
これでようやくプログラムの無間地獄から解放された。

コレクターはいつも忙しい。
プログラムの収集を止め、
体は大分楽になった。
休みの日や仕事の合間に「ぴあ」を見つめ、
銀座、新宿、渋谷、池袋、六本木……
時には大森やお台場あたりまで足を伸ばしていたのだ。
金銭的にも少し楽になった。
月に平均¥500×20冊=約¥10,000が浮く。
年間では約12万円!
夫婦で海外旅行ができる。

その膨大なプログラムの中で
どれが一番気に入っているか、
と尋ねられても、答えようがない。
僕にとってはどれも均等に美しく、貴重で、愛らしい。

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