荒野のエッセイスト(音楽編)

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第34回
オブリビオンの青い影

「オブリビオン」。
日本語で「忘却」という意味。
5月31日に公開される
トム・クルーズの新作のタイトルでもある。

2077年――。
エイリアンの襲撃を受け
人間がいなくなってしまった地球で働く男の物語。
その男の頭の中に
美しい記憶がよみがえるシーンがある。
愛する人と暮らす湖畔の家。
そこに流れるのが
プロコル・ハルムの「青い影」

プロコル・ハルムは
イギリスの5人組グループ。
ビートルズやローリング・ストーンズの全盛期、
1967年に日本でも大ヒットした曲。
オルガンが奏でるムーディーでいて重々しいイントロ。
まるでロックと宗教音楽の融合。
原題は
「A WHITER SHADE OF PALE」
直訳すると「青ざめた、より白っぽいひとつの影」。
「影なき影」とでも訳すべきか……。
歌詞の中にも
FANDANGO=ファンダンゴ=スペインの踊り
VESTAL VIRGINS=ヴェスタル・ヴァージンス
=火の女神に仕えた処女の巫女(みこ)
など、あまりなじみのない言葉が次々と出てくる。

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