荒野のエッセイスト(音楽編)

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第36回
最後のマイ・ウェイ

英語と日本語……
フランス語と英語……
それぞれの言葉によって
歌の内容が全く異なってしまうのはよくあること。
その代表格が
フランク・シナトラの大ヒット曲として知られる
「マイ・ウェイ」だ。
この歌はもともとフランスの
クロード・フランソワ
というフランスのポップシンガーが歌った曲で、
本国では1967年に大ヒットしている。
原題は「Comme D'nabitude(カムダビチューダ)」で、
「いつものように」
という意味。
「いつのもように一日が終わり
僕が家に帰ると君はいない
いつものように僕は独りで淋しく眠りにつく……」
というようなやや情けない男の日常を描いている。
モデルとなった女性は
当時クロードと付き合っていた
フランス・ギャル
と言われている。
若い人のためにことわっておくとフランスのギャルのことではなく
「夢見るシャンソン人形」でブレークしたアイドル歌手の名前だ。
この歌に「ダイアナ」等のヒットで知られる
ポール・アンカが英語の歌詞をつけ、
尊敬するフランク・シナトラに捧げたのが、
皆さんがご存じの「マイ・ウェイ」だ。
このバージョンは1969年頃から
じわじわとヒットを続け
いつのまにか世界的なスタンダード・ソングとして定着した。
後にエルヴィス・プレスリーもレパートリーに取り入れている。
(僕の父親・笈田敏夫もコンサートのラスト
またはアンコールで必ず歌っていた)
英語と日本語の歌詞の内容はほとんど同じで
「私は私の信じた道を歩いて来た
多少の後悔はあるが
いつも私は私のやり方をつらぬいて来た……」
という男道一直線というムードに仕上がっている。

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