コミュニケーション達人への道

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第32回
部下とのコミュニケーション 前編

新入社員もそろそろ会社に馴染みはじめ、少し余裕が出てくる時期になってきたのではないでしょうか。

一息落ち着いて周りを見渡す余裕が生まれるからこそ課題や悩みが見つかる頃。
特に新しい部下を持つことになった皆さんは自身の悩みだけでなく管理職としての悩みも出てくる時期でしょう。
管理職は自らの組織を運営し、部下を育成していく責任がありますが、様々な性格や特徴、個性をもった人が入り乱れる“組織”の運営はそう簡単にいかないもの。
期待していた部下が辞めてしまうなど、早くも波瀾万丈の事態に突入してしまった方も少なくないのでは?

管理職が部下を “動かそう”とするとその組織は迷宮に入ります。
人は自らの意思で動く生き物です。 誰かに指示され、動かされるという受動的な行動にはストレスを感じ、やりがいは感じません。だから管理職は、部下を“動かそう”とするのではなく、部下本人が動きたくなる、つまり能動的なやる気を起こすコミュニケーションを心がけることが成果を生み出す組織をつくる上で重要です。やる気の原動力はモチベーションです。多くの部下がモチベーション高く継続的に維持している組織には、管理職の”人“としての魅力が部下にしっかり伝わっているという点が共通しています。
松下幸之助さんや王貞治さん、長嶋元巨人軍監督や田中角栄さん等、”カリスマ“と呼ばれる人達は、この”人“としての魅力が多くの人に伝わったからこそ、多くの人を継続的に惹きつけているのでしょう。

今回は、部下とのコミュニケーションについて、やる気を阻害し、管理職の人としての魅力を損なってしまうNGコミュニケーションの実例を交え、前編後編に分けて解説していきます。

□「~べき」や「~しろ」等の高圧的、威圧的な言い方が多い。

高圧的で威圧的な態度は”カリスマ“としての魅力を損ないます。
管理職経験者はもしかすると誰もが一度は通る道ですが、役職をもらうと舐められてはいけないと思い、高圧的で威圧的な態度を取りがちです。特に新任の管理職は、高圧的な態度や言葉でねじ伏せるようなコミュニケーションを取りがちですが、これは部下の”嫌い“という感情を大きくし、同時に不安や恐怖を抱かせてしまい、ストレスは与えるもののモチベーションを高くすることはできません。
昨年、某旅行会社の担当者が、修学旅行の宿の予約を忘れたにも関わらず前日までそれを上司に報告・相談せず、その学校が修学旅行に行けなかったという前代未聞の事件が大きく報道されました。この旅行会社がどのようなコミュニケーション環境だったのか実態は解りませんが、威圧的な言い方で相手をねじ伏せるような管理職の組織は部下が報告・連絡・相談をしづらくなりミスやトラブルを隠ぺいする様になります。
威圧的な言い方をしてしまいがちな人は、「なるほど」や「そうか。」と一旦受けてしばらく感情を落ち着かせてから、威圧的にならないものの言い方を考えて発言する様にしてみて下さい。
また、普段から仕事以外でのコミュニケーションを取り、相手を知りつつ自分を伝える事も大切です。カッとなりがちなテンパーな気質の人は、ランチや雑談等で「カッとなりやすいので自分でも困っている」という事を伝えてもいいでしょう。
仕事に関係したコミュニケーションは指示や命令が多くなります。管理職は部下の趣味や特技、好きな事なども理解して、この様な仕事以外の話題で盛り上がる等の時間も意識的に取る様にしましょう。
仕事だけに限定されたコミュニケーションでは、部下が管理職へ親近感を感じにくい為、時には自分のプライベートな趣味、家族の話等も開示しつつ部下とのオフ・コミュニケーションを積極的に取り話しやすい雰囲気を作りましょう。



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