第71回
謝る
2016.12.28 [西澤 史子]
叱られる経験が少ないという昨今、謝る経験も比例して少なくなります。
褒めて育てる方法がスタンダードになってきている現在は、ますます謝れない、謝らない人が増えています。何度も繰り返していますが、感謝と謝罪は人間関係の潤滑油です。この二つがちゃんと言えるかどうかで回りのすべての人との関係を良くも悪くもします。
謝ったのに
「それで謝ってるつもり?」
など、謝ることで更に相手の怒りを買ってしまわないように正しい謝り方を学びましょう。
まず大切なのはタイミングです。
相手の不満、不快感を感じていると察知したら、すぐに謝りつつ探ります。
「申し訳ございません。何か失礼がございましたでしょうか?」
「ごめんなさい。何か違いますよね。」
「申し訳ございません。何かこちらの対応に不手際がございましたでしょうか?」
謝るタイミングは早ければ早い程良いのです。
相手が怒り、沸点に達したタイミングまで放置すると謝ったとしても相手の怒りは中々鎮まらないでしょう。
顔の表情と声のトーンも意識してください。日本人は自分が思っている以上にポーカーフェイスで感情があまり顔に出ません。特に怒りや悲しみなどネガティブな感情に対峙した時に、どんな顔をしたらいいのかわからないという人が多いのです。けれどそういう気持ちのまま対応すると、探る様な表情となってしまい、逆に相手の怒りや不快感を増長させる結果となります。謝る際には、心から申し訳ないという気持ちを込めつつ「何か自分にできる事はないでしょうか?」という一歩相手に歩み寄った感情を込めて下さい。
そして目線はふらふらさせずに相手の目をきちんと見て謝ってください。その際に、いやいやながら謝ると目に挑戦的な色が出てしまいます。すると
「なにか納得してないみたいだけど?」
「何か言いたいことあるのか?」
と相手の攻撃的な感情を刺激してしまいます。
当然ですが笑顔も厳禁です。堺雅人さんの様な、普通の顔をしていてもちょっと笑って見える様な顔立ちの人は、笑って見えない表情を鏡で練習してみて下さい。笑顔で謝罪すると「馬鹿にしてるのか?」と相手の怒りを買ってしまいます。
また、「すみません」は謝罪ともお礼とも取れる日本独自の言葉です。謝罪もお礼も中途班場になってしまい、連発することで
「すいませんばかり言われてもね」
と逆に相手の怒りをかってしまう場合があります。
謝る時は感情を込めて丁寧に謝りましょう。
謝るべきタイミングと表現が適切な人は、円滑な人間関係を維持することが出来ますが、謝る事が出来ない、謝ることでも相手の納得を得ることが出来ない人は、人間関係を破たんさせてしまうことが多いでしょう。
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