コミュニケーション達人への道

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第21回
尊厳欲求と自分を愛するという事について ~後編~

前回、人に認められている、評価されていると判断するのは自分自身であると述べましたが、その為には自分が自分を愛し認める事がとても大切です。
ここが欠落していると他者が認め、褒めても、それを信じることが出来ないのです。

自分のことを愛する事ができて初めて、他者からの温かい言葉や褒め言葉、評価を信じられます。そして、その人がどれだけ幼少期から愛情を受けて育ったかがこの自分を愛するという事に大きく影響を及ぼします。虐待等の悲しく苦しい経験を受けたトラウマは、自分を愛する事に大きな抵抗を生む原因になります。子供は親からの無償の愛を感じることで、自分は愛される存在であると確信を深めることが出来ますが、親でなくとも他の誰かから同じ様な愛情を感じられれば問題はありません。悲しむべきは、親だけでなく周りの誰からも愛情を感じられない幼少期の環境です。この幼少期の愛情の欠落は、成長と共に、劣等感、不安感、対人恐怖症などへの影響が出始めます。インナーチャイルドと呼ばれる、内なる幼少期時代の声が悲しく、苦しいものであればあるほど、その影響は大きくなる傾向ですがトラウマは克服できます。ストレスと同様に、その要因が何であるかが突き止められれば、トラウマは克服することができます。代表的な克服方法は、そのインナーチャイルドの言葉を、自分の言葉で発言し、誰かに聞いてもらう、共感してもらう事です。同じ悩みやトラウマを持つ人たちが集い、お互いの話を聞きあうグループ療法と呼ばれる心理療法はこれに相当しますが、深いトラウマやストレスでない場合も、誰かに話す=話を聞いてもらう事は心の負担を軽くします。
最近は一方的に自分の悩みに人を巻き込む事しかしない“メンヘラ“な傾向の人が増えています。どんな場合でも一方的な依存は、その人との人間関係を壊す原因になります。これを続けていくと、リアルな人間関係が破たんし、慰めてくれるのはネットの世界の見ず知らずばかりという状況になり、ますますリアルな人間関係が縮小していくという悪循環に陥ります。人間関係は持ちつ持たれつです。誰かに話を聞いてもらったなら、相手の話を2倍の時間をかけて丁寧に聞く配慮を忘れない様にしましょう。



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