How to be a Gentleman

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第6回
~一期一会~ 富山編② Our Retreat 隠れ家を探して


建築家、内藤廣氏がデザインした広々としたロビー

富山市内から車で15分程走ると、森々と広がる山里へと景色が変わる。「何にもない所やね。看板もないしね。」と少し不安になりながら、さらに15分。細い路地をただただ真っすぐ走らせた。とそこに、ひときわ異彩を放つ「リバーリトリート雅樂倶」があった。まさにその名の通り川面に沿って建つ、春日温泉の名旅館である。車を降り、案内されるままに中へ進むと、奥には吹き抜けの大空間が広がる。コンクリートで組みこまれた壁は日本家屋のような造りで広々としたモダンなロビースペースだ。大きなガラス一面に、神通川と対岸の山がまるでキャンパスの中に描かれた景色ように映し出され、大きな暖炉でメラメラと燃える火が暖かい。春には桜、初夏には蛍、秋には紅葉、そして冬は雪景色…と、季節の移ろいを目で、肌で感じさせてくれることだろう。

カッシーナのソファにゆったりと腰かけたままチェックイン。それぞれに違うウエルカムドリンクで一息ついたところで部屋へと案内された。全部で25室ある客室に同じ部屋はない。それぞれ異なる趣の中で、ゆったりとした贅沢な時間を過ごせる。今宵は、「恋華の間」。カリン材の赤を基調とした空間で、プライベートガーデンでは内田鋼一氏の作品も楽しめる。ヒバ材の香り高い浴室も心地よく快適な部屋だ。

私がホテルや旅館に求めるものは、我が家のように寛げる空間と我が家では得られないサプライズを与えてくれる場である。今回の旅の目的は、両親の結婚記念日と母の還暦祝いを兼ねた、娘の私から感謝をこめたプレゼント旅行だ。そして選んだ晩餐は和食。予約の取れない京都の名店として有名な「祇園さゝ木」の分店がここ雅樂倶にある。3時間かけてゆっくりと和彩膳所「樂味(らくみ)」で和の極みを堪能。独特な赤をモチーフにした個室も母の還暦を家族で祝うには打ってつけだった。一皿一皿、繊細かつ斬新な料理と共に楽しめたのが器へのこだわり。陶器好きの我が家としては、それもまた嬉しく楽しませてもらった。ご飯を炊く窯とそれをのせる台。そしてしゃもじ入れに至るまで特注である。

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