第14回
食べるインスリン「キクイモ」
2012.02.21 [栗本 清]
現在、国内における糖尿病の患者数は 1,300万人を越えると推計されています。この数字は、全人口の10%を超えているそうです。
近年、食事も欧米化され、子どもの糖尿病も急増しています。
そこで今回は、「食べるインスリン」とも呼ばれている「キクイモ」をご紹介します。
まずキクイモとは、名前の通りキク科の植物で、原産国は北アメリカです。秋に美しい花を咲かせ、霜が降りるころまでにイモが大きくなります。春に芽が出てから収穫までの約半年間は成長期なので、イモは手に入りません。
とても強靭(きょうじん)な植物で、最低気温が17℃以下になるところなら、世界中どこでも繁殖します。
キクイモには、イヌリン、ポリフェノール、ミネラル、ビタミンなどが多く含まれ、中でもイヌリンは全成分の50%以上を占めています。
イヌリンはノンカロリーの糖質で、果糖が30個ほどつながった多糖類の一種です。分解しても、果糖にしかなりません。果糖は、血糖値をほとんどあげません。
イヌリンは、キクイモに含まれているイヌラーゼという酵素によって分解され、フルクトオリゴ糖になります。
イヌリンは、腸内ではビフィズス菌などの善玉菌のえさになるので、善玉菌が増え、悪玉菌は減り、腸をきれいにして消化吸収を良くします。
また、血液をきれいにするので、全身の細胞が元気になりますし、脂肪を包み込むことによって脂肪の吸収をも妨げてくれます。
それから、キクイモのイヌリンは、胃や腸で消化吸収されず、どろどろした繊維質となり、胃の下部や小腸の表面を覆って炭水化物の吸収を妨げます。
十二指腸では、脂肪の消化吸収にかかわる胆汁酸と複合し、脂肪の吸収を妨げます。キクイモのイヌリンによるどろどろした繊維質は、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促して腸内の通りを良くし、食べ物をすばやく通過させるので、余分な栄養素が吸収されないんです。
先日、「キクイモを食べ始めたら体のキレがよくなった」というお客様の声を聞きました。体のキレがよくなれば、自然と運動量が増し、ダイエット効果も現れやすくなります。
さらにキクイモは、カロリーが少ないのに満腹感が長持ちしますから、食べ過ぎやダイエットのリバウンドも防ぎます。
では次のページで、キクイモを使ったグラタンを紹介いたしましょう。
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