第5回
おいしいだけじゃない!ナス
2011.08.30 [栗本 清]
暑い日が続きますね。
エアコンをつけないで我慢するあまり、夏バテや熱中症になりかけていませんか?熱中症は、高温によって体の水分とミネラルが減少することによって起こるそうです。こまめに水分を取って、夏を元気に乗り切りましょう。
水分やミネラルの宝庫といえば、夏の野菜。
中でも今回は、ナスに注目してみましょう。
ナスは、約94%が水分ですが、ビタミンB群やC、カルシウム、鉄分、カリウムなどのミネラルをはじめ、食物繊維もバランス良く含んでいます。
特に豊富に含まれる食物繊維は、便秘を改善し、大腸がんを予防したり、血糖値の上昇を抑えることにより、糖尿病や肥満を防いだりする効果があります。
また、皮には紫黒色のアントシアニン系色素「ナスニン」が含まれ、ナスのアクと呼ばれているのは「クロロゲン酸」です。いずれも抗酸化作用のあるポリフェノールの一種で、老化防止、動脈硬化の予防、がんの発生や進行を抑制するなどの作用があるといわれています。
日本では、民間療法として、ヘタを黒焼きにして塩を混ぜ、歯槽膿漏の予防に用いたり、ヘタの切り口の汁をイボとりに使ったりして利用することもあるそう。
もともとインドからヨーロッパに伝わった時は、ナスは薬用として使われていたようです。
そういえば、昔、僕の祖父が尿路結石という病気で入院した時、ナスを大量に食べさせられたと聞きました。ナスには利尿作用があるからでしょうか。確かに翌日、祖父の結石は無事尿と一緒に排出されたそうです。
さて、一般的な野菜は、栄養分が水溶性であったり、熱に弱かったりしますが、ナスは熱に強いです。揚げても焼いても、栄養成分はほとんど変わりません。
「じゃあ、イタリアンでナスを使った料理は何か」って?
例えば、「スパゲッティー・シチリアーナ」などは耳にされたことがあるのではないでしょうか。揚げたナスのトマトソースのパスタです。他には、「ナスとひき肉のオーブン焼き」や「ナスの網焼き」などもあります。先述の「ナスニン」は水溶性なので、油で軽く炒めた方が、栄養分が流出することなく、しかもおいしく食べられるのです。他には、「ナスの酢漬け(ピクルス)」なんかもあります。
さてここで、新鮮でおいしいナスの選び方をお教えします。
◎ヘタのトゲが鋭い。
◎実の表面に張りがあり、弾力がある。
◎色が均一で濃い。
新鮮なうちに調理することが大切ですが、すぐに調理できない時は、一つずつラップをかけて、冷蔵庫の野菜室に保存しておきましょう。冷蔵庫にそのまま入れておくと、水分が逃げてフニャフニャになってしまいます。
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