お取り寄せからみたニッポン

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第10回
群馬県・七転び八起きの縁起だるま

縁起物として、願掛けとして、長く愛されてきただるま

新年の縁起物や選挙の当選祈願でよく見かけるのがだるま。その一大産地といえば、群馬県高崎市だ。「高崎だるま」は年間170万個も作られ、全国生産の8割近くになる。

そもそも高崎市には、縁起だるまの発祥の地とされる黄檗宗の少林山達磨寺がある。黄檗宗は禅宗のひとつで、禅宗の開祖とされるのが達磨大師だ。だるまというのはこの達磨大師のことで、頭と胴体だけの丸い姿形は、達磨大師が、壁に向かって9年間、座禅を組み続けて手足がなくなったという伝説に由来する、というわけだ。

少林山達磨寺は、大洪水で流れて来た大木に達磨大師の像を彫ってお堂に安置したのが起源とされている。正月には達磨の座禅像を配り札としていたそうだが、この像を手本とした木型に和紙を張って張り子を作ったのが、高崎だるまの始まりだ。冬に風が強く乾燥する気候がだるま作りに適しており、農閑期の農家の副業として定着したという。現在でも、豊岡地区の周辺には、だるまの生産者が多く集まっている。
寺では新年の七草大祭でだるまを販売し、それが人気となって、縁起だるまの少林山とまでいわれるようになった。少林山達磨寺のHPをみると「縁起だるまの変遷」という解説があり、一筆だるまのお札の絵から、次第に繭型となり、さらに丸くなっていくのがわかっておもしろい。木彫りの達磨大師像を見ると、力強い顔の造形がだるまの豪快な髭と眉毛そのままだ。

一方で、縁起物としてのだるまは、髭と眉毛は鶴と亀をあらわし、魔よけの赤色で彩色された胴体に、金や黒の模様が描かれる。正面中央や顔の左右には文字が記入され、祈願の文字を入れ、成就した証に、目に墨を入れるというスタイルに。いまでも、合格祈願や選挙の当選祈願など、祝儀ものとして幅広く喜ばれている。

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