今さら聞けないワインの話

バックナンバー

第5回
ワインと共に月を楽しむ

スクリューキャップのお薦めワイン 『シロメ クラシックセレクション カベルネメルロー 2006』(写真左)、 『シロメ ヴィンヤードセレクション シラーズ 2008』(写真右)

お酒って、「いつ飲むか」「どこで飲むか」「誰と飲むか」によって、味や酔い方が変わると思いませんか?
昼間に飲むお酒は酔いが早かったり、旅行中に乗り物の中で飲むお酒は特においしく感じられたり、また憧れの人と飲んだ時は雰囲気に酔ってしまったり…。

機内サービスをしている時、おいしそうにビールやワインを飲んでいるお客さまを見ると、嬉しくなります。空の上で飲むお酒は、また格別ですものね。私もその気持ちがとてもよく分かるので、つい積極的にお代わりをお出ししてしまいます。
でも、機内は0.8気圧と地上より気圧が低いため、酸素が薄く、心拍数も早くなります。よって、アルコールの回りも地上の3倍近く早くなるといわれていますので、飲み過ぎにはくれぐれもご注意を!チェイサーとして、お水もたっぷり取ってください。
とはいえ、私も機内で飲むお酒は大好き。プライベートで出かけた際、上空で缶ビールを豪快にプシュッ!とやったら、同伴者に「男らしいねぇ〜」と感心されたほど。だって、楽しい時間は、とことん楽しみたいじゃありませんか!

ところで、フライトをしていると、季節の移り変わりに気づかないことがあります。いつの間にか桜が散っていたり、梅雨が明けていたり…。しかし、その年のその季節を楽しめるはその時だけ。できる限りその年の季節感を味わいたいと思っています。
そこで今年の8月は、浴衣に身を包んで花火大会に出かけたり、海やプールに行ったりと、夏を堪能しました。もちろんワインと共に(笑)。

そして、夕方の風に秋を感じる季節になりました。
今年の十五夜は9月12日。
現在では、満月のように丸いお団子と魔除けの力があるといわれているススキをお供えし、「中秋の名月」鑑賞するのが一般的になっています。地方によっては、この時期に収穫された作物を感謝の意味でお供えしたりもするそう。収穫したばかりの里芋をお供えする地域もあるそうで、その地では「芋の名月」と呼ばれているのだそうです。

昔の人は、池の水面やお酒を入れた杯に月を映して楽しんでいたといわれています。
そこで、池に映った月を楽しむことはできないまでも、私は月をワインに映して楽しんでみようと思い立ったのです。大きめのワイングラスに、赤ワインを注ぎ、満月を楽しむなんて…粋だと思いませんか?秋風が運ぶ乾いた緑の香りと、鈴虫の鳴き声を傍らに、月を独占しながら飲むワインは、いつもよりもずっと高級なワインを楽しむがごとくに感じられることでしょう。
さらに、気の合う仲間が一緒なら、どんなに素晴らしいひとときとなることか…。
でも、都内で耳を澄ますと、残念ながら、車や飛行機、人の話し声などのざわめきがほとんど。なかなか自然の音に触れることが難しい。そんな時は、ワイングラスを片手に、ほんの少し静かな場所に移動してみましょう。

コメント