第20回
好かれそうもない名前をつけられたマムシグサ
2015.07.17 [西原 升麻]
今知られている植物には必ず名前があります。この植物の名は数あれど、これほど恐ろしげな名前もないのではないでしょうか? その名もマムシグサ、毒蛇の名前そのまんまです。気の毒な名前と言うなら以前紹介したハエドクソウやヘクソカズラ、他にもクソニンジン、ヌスビトハギなどがあります。また、ヘビイチゴのように蛇の名がつくものもありますが、マムシグサのように特定の毒蛇が名前になるのはまずないでしょう(ハブソウという毒に効く意味での薬草はあります)。
マムシグサはこれが花?と言うような不思議な形の花です
マムシ=蝮の名前は、茎の模様が似ているからと言われます。蝮には幸い出合っていませんが、ネットなどの画像で見ると具体的な模様こそ違っていますが、イメージはそっくりです。しかし恐ろしいのはそれだけではありません。花の姿が何とも異様な形をしているのです。どう見ても美しいとは言えず、花とも言えません。横を向いても後ろ姿も怪しいままです。
茎の模様が名前の由来です
後ろ姿も不気味
その妖しさもサトイモ科の仲間だと言われると少し納得です。ザゼンソウやミズバショウもサトイモ科で親戚関係にあり、あの変わった風貌というか羽織っているマント=仏炎包と同じものをマムシグサも持っているので同じ雰囲気があるのです。
ミズバショウもサトイモ科ですが
美しいと言われ…
えっ?似ていない? そう、同じ科ではありますがミズバショウは白くて美しく、ザゼンソウは中の丸い黄色がユーモラス。そこ行くとマムシグサは……う~ん、やはり不気味。色はザゼンソウと同じく茶系なのですが、マムシグサはもっと暗く、仏炎包も閉じています。中が見えないのと上部のフタか蛇の頭のように見えることも効いているのでしょう。ミズバショウだって白くなく、閉じていたらけっこう怖いかもしれません。
ザゼンソウは愛嬌があるけれど…
マムシグサはやはり奇怪な姿です
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