第31回
ネコノメソウの目は横長だった
2016.08.17 [西原 升麻]
動物の名前に因む花、今回はネコです。ネコがつく名前には悪い意味はないようです。ネコは最初、ぺットではなくネズミの被害を防ぐ目的で日本に持ち込まれたと言われ、役に立つ存在だったわけです。イヌと違って悪い意味がないと言うのは、そう言う歴史によるのかもしれません。
ネコノメソウは背が低いので戦略として水辺の近くを選んだと言われます。水辺の側では、花びらは水に濡れて都合が悪かったのでしょうか? それと、花粉の水濡れは大丈夫? いろいろ謎ですね。
もう一つ不思議なことは花粉を運ぶのはカタツムリやナメクジだという事です。鳥類や蝶その他の昆虫なら分かりますが、カタツムリとは…。
水辺でよく見かけるネコノメソウ
確かに水辺などに多く生えるとは言いますが、ネコノメソウの葉にカタツムリやナメクジを見たこともなければ這った跡も記憶がありません。まあ専門家の話なのででたらめと言う事はないでしょう。活動が主に夜だとか汚れに強いとか何か理由はあるのでしょうが、これも謎ですね。ただ、猫の目と言われれば普通のはあの光に素早く反応する瞳でしょう。その特徴は丸い瞳ではなく、細くなった瞳です。花の部分は四角なので猫特有の細い目ではありません。ではどこか? 実は花が終わった後に出来る実の形だと言います。花が終わると葉だけになってしまい、目立たないので今まで気が付きませんでした。
これが猫の目由来の実
こちらは本物のニャンコの目
実を見ると、開いて種が見えていてこの様子が猫の目だと言うのですが…。確かに隙間が細く猫の目のようではあります。しかし、どこか違うような…。
そうですよね、猫の細目は縦ですがこれは横長です。ただ、これを縦にしてみれば確かに猫の目です。だけど、縦にすると目が上下になるので特に猫の顔全体の話しではなく、目の形だけに注目したのでしょう。花の名前としては片方の目だけを対象にしても問題ないようです。
横長の目は遮光器土偶の方が似ている?
細い横長の目のような実の形にはなるほどと思いましたが、私の第一印象は猫よりも土偶でした。宇宙人のような姿のあの遮光器土偶と呼ばれる縄文時代晩期の発掘物です。私にはこちらの方が似ている気がするのですが、名前の付け方には困ってしまいそうですね。コガネネコノメソウ
ニッコウネコノメ
ネコノメソウも種類が幾つかあります。しかし多くは地域限定のものが多く、しかも山で湿気の多いところと条件がつくので全部を見るのは簡単ではないかもしれません。ネコノメソウの違いはわずか。よく似ていて注意して見ないと同じに見えてしまいます。
でもよく見ていると、オシベの本数が違ったり葯(オシベの先)の色が黄色と赤の違いがあったりして、花の色も黄色から緑まで微妙に違いがあるのが分かります。
似ていてもネコノメソウは別物のトウダイグサ
似ていると言えば、その辺を歩いていて似ているなあと思う花があります。トウダイグサと言って何度見てもネコノメソウの仲間だと思えるのですが、ネコノメソウはユキノシタ科、トウダイグサはトウダイグサ科で全くの別種だそうです。
人間では他人のそら似はよくありますが、植物の世界でも他人ならぬ他草のそら似ということがあるようです。
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