負けないぞ!賢者の資産形成術

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第19回
その18“果実との交換(12)”–果実の育成法(3)–

皆さん、こんにちは。

ファイナンシャルプランナーの山田英次です。

前回のコラムでは、一度分散比率を決定したら、マーケットが上昇しても下落してもその比率を維持することが大切だということをお伝えしました。

自己資金を投入する前にこの話を聞くと、「そんなことは簡単だ!」と思うかもしれませんが、大切にためてきた自己資金が実際にマーケットの荒波にもまれ始めると、なかなか徹底できないものです。

特に、「いつも」「できるだけ」「たくさん」もうけたいと考えている方は要注意です。この作業は、それらの欲望を満たすものではないからです。この比率維持の作業の目的は、「負けにくい状態を維持する」ことにあるのです。例え周囲の人が高いパフォーマンスを確保しようとも、それを横目に、あえて10%未満の利回りを手堅くねらっていく心がけが必要です。(もちろんマーケットの状況によっては、10%を上回るパフォーマンスも期待できますが。)

さて今回のテーマは、「分散比率の決定」です。

先述の比率維持が皆さんの資産運用に寄与するためには、最初に決定する分散比率が妥当なものでなければなりません。

適当に複数の金融商品を手に取ることが分散投資ではありません。科学的根拠がある分散をしなければならないのです。

アタリの多い状態をキープする

まず、分散投資を語る上で大切な「リスク」という言葉の定義をしておきたいと思います。分散投資を語るこのコラムにおいては、それを「危険」ではなく、「ふれ幅」とご理解ください。これは、ある一定の利回りを狙った場合、「どの程度その目標からずれる可能性があるか」を考えるときに使う大切な概念となります。

例えば、目標利回り(リターン)が5%、発生する振れ幅(リスク)が7%の状態をグラフイメージで表すと、下記のようになります。

※一般的に、目標利回り(リターン)よりも振れ幅(リスク)は大きくなります。

この状態を文章で説明すると、「5%の利回りを狙っているが、運が良ければその利回りはプラス12%(=5%+7%)となる。逆に運が悪ければマイナス2%(=5%-7%)となる。」ということになります。

そして、少々乱暴な例えですが、0%以上の状態、つまり少なからず利益が出ている状態を「アタリ」と表現すれば、青い矢印のほとんどは「アタリ領域」に位置していることになります。

もしみなさんが、この矢印の範囲で利回りが振れる金融商品を手に取ることができたら、近い将来きっと良い結果を手にすることができるはずです。なぜなら、(運用の結果が均等に分散すると仮定した場合)ほとんどの年の利回りは「アタリ領域」に位置することになるはずだからです。(グラフイメージを見る限り、マイナス運用に陥るのは10回に1回程度ではないかと推測されます。)

科学的根拠があり、妥当と思われる分散比率というものは、このような「アタリ」になる可能性が極めて高い状態を指します。確かに、毎年の利回りは確定していませんし、たまにマイナス運用になることもありますが、長く続けることにより、徐々にプラスの利回りが蓄積されていくことが期待できます。

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