第24回
その23 “目標利回りの設定方法(1)”
2012.08.21 [山田 英次]
皆さん、こんにちは。
前回のコラムでは、生活費が月額40万円というゆとりある暮らしを25年間続けるためには1億2000万円必要なことや、夫が会社員(厚生年金受給者)である平均的なご夫妻がもらえる年金はおよそ年額250万円~350万円であることをお伝えしました。
これによって、皆さんのセカンドライフ、つまり老後に必要となるお金について、おおよそのイメージを持っていただけたかと思います。ご自宅に届く年金定期便を改めて確認し、さらに未来の生活のイメージを膨らませてください。
さて今回は、より皆さんにご安心頂くために、「目標利回りの設定」について具体的に考えていきたいと思います。
資産運用にチャレンジしたことがある方ならわかると思いますが、初めは慎重かつ怖れを抱きながらスタートしても、徐々に欲望は膨らんでいくものです。最初は少しの利益で喜んでいたのに、すぐにそれでは満足できなくなってしまい、資産運用がギャンブル化し、結果として損失の方が大きくなってしまう場合もあります。
では、狙う利回りを安定的に確保するためには、どうしたら良いのでしょう。
「高い利回りは高いリスクを伴う」という当たり前の事実
「高い利回りは誰にとっても魅力的ですが、リスクも伴います」
というお話をすると、
「そうですよね、やっぱり危険ですよね」といった主旨のコメントを頂くことがあります。しかし厳密にいうと、資産運用上の定義とはずれていますので、ここで少し補足しておきましょう。
このお話は、ゴルフクラブの選択に例えることができます。最も飛ばないクラブであるパターは、あまり飛ばない代わりに、目標から左右に大きく振れることはありません。一方、最も飛ぶクラブであるドライバーは、飛距離は長いのですが、ちょっと油断をすると、大きく脇にそれてしまいます。
資産運用では、ゴルフクラブの「飛距離」がリターン(=利回り)、そして、脇にそれてしまうかもしれない「振れ幅」をリスク(=乖離(かいり))だと考えて頂きたいと思います。
もし皆さんが、資産運用において高い利回りを望むならば、その利回りの分、振れ幅が上下する可能性も高まります。(狙う利回りから、大きく乖離した利回りになる可能性が高まるということです)
「いつでも、どんな状況でも、誰にとっても最善のゴルフクラブ」が存在しないように、資産運用も同じことがいえます。つまり、自分が狙うべき飛距離(すなわち利回り)に応じたクラブ(すなわち金融商品)を選択することが必要だということです。必要以上に大きなリスクを負わないためには、目標利回り以上のリターンを求めないことが肝心です。
ポイント
リターン
ゴルフでは期待できる飛距離。運用では期待できる利回り。これを「期待収益率」といいます。
リスク
ゴルフでは目標方向に対して左右、運用では期待収益率に対して上下に発生する「振れ幅」。
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