第17回
コミュニティの重要性を考える
2012.01.17 [斉藤 ヒジリ]
東日本大震災を通じ、日ごろの近所付き合いや地域コミュニティがいかに大事かということを、皆さんも改めて実感されたと思います。特に一人暮らしの高齢者の方にとって、自分のことを気にかけてくれる人が身近にいることは大切なことですよね。
そこで今回は、「コミュニティー」という視点からマンション選びを考えてみたいと思います。
核家族が当たり前になり、少子高齢化が進みつつある現在、近所付き合いというものが改めて見直されてきたことは、当然の流れといってよいかもしれません。
3月の大震災以後は特に、防災対策はもちろん、「マンション内コミュニティー」を売りにした分譲マンションが目立つようになりました。こうしたマンションでは、住民同士のコミュニティーが作りやすいよう集会所などの共用部分を充実させたり、さまざまな外部サービス(医療や食事提供など)と連携したソフト面でのサポートが行われたりしているものもあります。老後に備え、そのような設備やサービスの充実は、大きな魅力のひとつになります。
大規模マンションに人気が集まるのは、そのような理由もあるのかもしれません。
ここで、街の選び方において考慮したい点について。
たとえば新興住宅街ですが、入居するときは、他にも多くの入居者が流入します。住民は結婚して間もない「一次取得者」といわれる比較的若い世代が集中します。街は新しく整備され、緑豊かで美しく、子育て世代には魅力的なステージに映るかもしれません。
しかし街自体が未発達で、人口構成もいびつであるため、少子高齢化がさらに進んだ数十年後には一気に高齢化が進み、同時に過疎化も進みがちです。特に郊外では、街の発展が進まないと、新陳代謝も起こりにくいもの。若い住民がどんどん流出し、高齢者だけが残り、ゴーストタウン化して商店も減るため、年老いた住民は不便な生活を強いられる可能性大です。
ただし、新興住宅街にも良い点があります。住民の入れ替わりが少ないということは、隣人もほとんど変わらないということです。ずっと同じところに住んでいると、近所の人々はみな顔なじみになり、それはそれで良いコミュニティーが築けます。
そして、一緒に年を重ねた隣人同士が老後も仲良く暮らせるという良い面もあります。最も身近なコミュニティーが、老後の一番の支えとなりますからね。また、住民が同世代で団結しやすいというのも、心強いでしょう。
新興住宅街に限らず、複数のマンションが同時期に新築されたような地域や街においても、同じようなことがいえるでしょう。
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