第32回
消費者にみる兆し
2013.04.23 [斉藤 ヒジリ]
大手不動産会社(三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンス・住友不動産・東京建物・野村不動産・東急不動産・大京、計7社)がつくる新築マンションポータルサイト・MAJOR7(メジャーセブン)がこのほど、全国のマンション購入検討者約50万人を対象に「新築マンション購入意向者アンケート」を実施し、結果を公表しました。
今回は、そこから見えてくる変化やポイントについて考えてみたいと思います。
1.マンション購入を検討している理由
この設問では、「もっと広い住まいにすみたいから」という回答が調査開始以来9年連続トップ。
「低金利で買いやすいから」「老後の安心のため」といった経済的かつディフェンシブな意見が順位を下げる一方、「都心に住みたい」「魅力的なマンションが欲しい」「人気の街に住みたい」といった前向きな意識を持つ人が増加していました。
これを見ると、マンションの購入希望者の経済的状況が少しずつ上向いており、「できるだけ余計な部分を抑えよう、我慢しよう」といったネガティブな思考がポジティブなものに変化してきたことがわかります。
こうした傾向は、これまであまり見られない傾向でした。
2.理想とするマンションのタイプ
この設問では、管理会社・売主・施工会社の信頼性を求める意識は変わらない一方、投資性の高さや高層・タワーマンションを求める意識が前回より上昇していました。
消費者が管理・売主・施工会社の信頼性を求める意識は、いつの時代も変わりません。
これまで私たちは、管理会社の不備、怠慢、売主の倒産、耐震偽装問題など、マンションにかかわる様々な事件や問題を目の当たりにしてきましたので、こうした部分はマンションを購入する際の根本的なチェックポイントとして一般的に認識されているようです。
その一方で、投資性の高さ、高層・タワーマンションを求める意識が上昇してきたというのは、経済的マインドの変化の一環とみてよさそうです。
多くの人々は震災ショックから立ち直り、デフレ進行への不安も軽減してきています。
リスク回避のために出費をひたすら抑える行動から、多少出費が増えても豊かさを求めていくようになった人が増えてきたということではないでしょうか。
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