第15回
“自宅と同じように”を追求する“大人”のホーム〈アミーユレジデンス野川〉(2)
2012.02.28 [木原 洋美]
「普通の生活」に近づける努力
備え付けの家具類や電化製品などは置かれていない居室。自宅で生活していたころの家具を持ち込み、それぞれが思い通りのレイアウトを楽しんでいるそうです。広さは27.18~28.13㎡。
「自由」が特徴の『アミーユレジデンス野川』では、できるだけ手を貸さずに見守りに徹するケアを心がけています。
「見守りに徹する」というのは、楽そうですが決してそうではないようです。
前回登場した認知症の方の場合でもそうでしたが、個々の残像能力を見極め、やる気を引き出し、かつ安全も確保しなければならないからです。これには時間と手間と根気が必要です。
さらに、老人ホームでのケアを仕事に選ぶ人は「お年寄りに喜んでもらいたい」「いろいろしてさしあげたい」という意欲にあふれている場合が多いため、ついつい手を出し過ぎてしまうそうなのです。
「そこをぐっとこらえて見守れるよう、アミーユの考え方をしっかりと伝え、理解してもらう研修に力を入れていますし、私も日々、努力しています。どうすることが本当に、ご入居者様のためになるのか、繰り返し伝えています」(アミーユレジデンス野川Y施設長)
加えて、手を出し過ぎない「見守り」に力を入れる一方で、「ひとり一人の生活習慣に合わせたオーダーメードケア」の実現にも努力を惜しみません。
「自宅にいるのと同じように最期が迎えられるよう、看取りも行っています。24時間看護師常駐の施設ではありませんから、夜間の医療行為はできませんが、ご家族様のご協力もお願いし、在宅医療専門のお医者さんとも連携し、最期までお世話をしています。
こちらで看取ると決め、延命処置はしないと決めていても、ご本人様が苦しそうにしているのを見るとご家族様の気持ちは揺れ動きます。そういう場合は、ご家族様の葛藤に寄り添いつつも、延命治療は一時的なものであることなどもお話させていただきます。
何度もブレて、でもやがては、みなさんご本人様の気持ちを尊重するところへ帰ってきます。そしてホームで最期まで看てもらえてよかった、ご本人様が希望されていなかった病院での死を選ばないでよかったと思う、と感謝されることもありますね」(同)
ご入居者だけでなく、家族の想いとも根気強く向き合うスタッフの姿が目に見えるようです。
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