第25回
外へ向かう気持ちを後押ししてくれる介護旅行の「あ・える倶楽部」
2013.06.11 [木原 洋美]
旅行はリハビリ効果抜群!でも準備も実行も大変
飛行機での沖縄旅行も介護ヘルパーと一緒なら安心
有料老人ホームが力を入れている三大要素は、食事、医療連携、レクリエーションです。
見方を変えれば、入居を吟味する方が重視するポイントがその3つである、ともいえます。
高齢者にとってレクリエーションは、単なる遊び・楽しみ以上の意義があります。
それは、心身の生きる力を引き出し、かつ維持させるということ。
脳トレや介護予防体操のような、そのものズバリのレクリエーションも悪くないですが、旅行や散歩など外へ向かう楽しみのほうが気持ちを高揚させ、元気力を引き出すので、リハビリ効果は高いようです。「自主性」は本当に大切。
「自分で歩いて○○へ行きたいから、介護予防体操を頑張る」という人は少なくないのです。
だから、有料老人ホームでも、せっせと旅行を企画し、実行しているわけですが…。
介助が必要な方々を大勢、旅行に連れて行くのはかなり大変。
私は10年ほど前まで、脳梗塞(のうこうそく)で片麻痺(かたまひ)がある義父をよく旅行に連れて行っていましたが、毎度苦労したものです。
たとえば日本旅館は、館内でも飛び石が配してあったりしますよね。石と石の間は砂利が敷かれている。すると片脚が不自由で、もう片脚も1センチぐらいしか持ち上げられない義父が一人で移動するのは不可能です。
飛び石だから車イスも使えない。困りました。
国が「ユニバーサルツーリズム」を推奨して以来、バリアフリーの宿泊施設は増えていますが、「廊下、階段には手すりがあります」という場合でも、右が不自由なのか左が不自由なのかによって必要な手すりの位置は変わってきますから、安心はできません。
また観光地では、お目当ての場所までたどり着けるかどうかも、現地に行ってみなければわかりません。エレベーターがあっても、肝心の最後のところが階段になっていたりするのです。
「おれはいいから、お前たち見ておいで」と残念そうに手を振る義父を前に、切ない思いをかみしめたこともあります。
義父一人と旅行するだけでもこんな具合です。
不自由さ加減や、旅行に求める事柄は人それぞれですから、老人ホームで10人も20人も連れて行く苦労たるやすごいものがあると思います。
取材をして回る中で、下調べや事前準備の苦労をよく聞かされますし、障害が重度の方には、申し訳ないけどお留守番してもらう、という話も耳にします。
そんな老人ホームの担当者たちにお教えしたいのが、介護旅行の「あ・える倶楽部」です。
前回ご紹介した「大森弥生ハイツ」の相談員Oさんも「よく相談に乗ってもらうし、うちのご入居者様の個人の利用も多いです」と話していました。
そう。介護旅行は老人ホームだけでなく、個人としてもぜひ活用していただきたいサービスなんです。
というわけで、今回は株式会社SPIあ・える倶楽部の篠塚恭一さんに会って来ました。
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