第12回
エイジレスライフの価値観
2011.09.20 [内山 悟志]
自分の価値観を大切にすること
いうまでもなく個人の価値観に優劣があるわけではない。ここで示した4つの象限にどのような重みづけをするかで、豊かなエイジレスライフであるか否かが決まるというものでもない。個人の充実を重視して趣味に没頭する、ボランティアや地域活動に参加して人とのつながりを生きがいにする、生涯をかけて仕事に打ち込む、いずれも自分が満ち足りていると思えば、それが豊かな暮らし方といえる。一方で、何が不足しているわけではないけれどもなんとなく満ち足りない、そもそも自分が何を大切にしたいかがわからない、自分の気持ちを奮い立たせることが見つからない、というのは必ずしも充実した状態とはいえないだろう。何事においても、すべてが満たされるということはないわけで、欲をいえばきりがない。年齢を重ねるにつれて、何かを多少我慢したり、どこかで折り合いをつけたりしながら自分の価値観を確立していくものではないだろうか。とりわけ、定年退職などによって収入や社会参加の機会が減少した場合においては、これまで何の苦労もなく得られていた充実感が失われ、突然空虚感に苛まれることさえある。助走期間を含めてエイジレスライフは長い。何を大切にして生きるのか、何が自分らしい生き方なのか、自分の価値観についてじっくりと考える時間は決して無駄ではないはずだ。
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