第2回
なぜ、エイジレスライフ・アナリストとなったのか(その2)
2011.04.19 [内山 悟志]
また、日本では2008年時点で、一般世帯総数に占める65歳以上の高齢者のいる世帯がすでに41.2%に達していることに加えて、高齢世帯(世帯主が65歳以上の世帯)の割合は、2005年の27.6%から2030年には39.0%へと上昇することが見込まれている。つまり、消費者の大きな割合を高齢者自身または高齢者がいる家族が占める時代となることを意味する。そうなると、今後は、高齢者のために特別に商品やサービスを企画・開発するのではなく、高齢者が顧客層の非常に大きな割合を占めることを前提とした商品やサービスの提供が求められる。さらにいうと、あらゆる商品やサービスが若者と高齢者の両方に受け入れられるものでなければならない。
一般にシニア向けビジネスと呼ばれる業界には、介護・福祉、医療など高齢者の生活を直接的に支援するものだけでなく、バリアフリー住宅、ユニバーサルデザインの商品、趣味や健康増進など高齢者が安心快適な生活がおくるための間接的なビジネスまで幅広く存在する。さらに、あらゆる商品やサービスが高齢者にも受け入れられなければならないとすれば、自動車や家電などの製品や、小売店や宅配業のような消費者向けサービスなど、あらゆる業界が高齢者を市場として捉えなければならないと考えられる。
国際競争力という観点では、エコ関連技術、ロボット工学、電気自動車など日本が有望な産業分野は確かにいくつか存在する。しかし、シニア向け産業はこれらの技術産業のようにハード面が優れていればグローバル市場で優位に立てるというものではない。
サービス品質、文化風土、社会制度などを含めたソフト面での優位性を早期に確立し、輸出できる産業へと育てていかなければならないのである。
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