内山悟志の骨太エイジレスライフのすすめ

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第33回
スマートフォンを使いこなす(1)

電車の中や街角でスマートフォンを手にする人を見かけることが多くなったが、50歳代以上の保有率はまだあまり高くない。急速な勢いで普及するスマートフォンだが、快適なエイジレスライフにスマートフォンはどのように寄与するのだろうか。

急速に普及するスマホと世代別格差

スマートフォンは急速な勢いで普及してきている。「スマホ白書2012」によると、2010年9月時点で9%に過ぎなかったスマートフォンの利用率は、その半年後の2011年4月には14.8%、そしてさらに半年後の2011年9月には22.9%となっており、わずか1年で2.5倍の成長を示している。別のある調査によると2015年には通常の携帯電話(フューチャーフォン)の販売台数をスマートフォンが上回ると予測されており、まさにスマホ時代の到来といえる。

一方で、スマートフォンの世代別インターネット人口普及率をみると世代間で大きな開きがある。総務省が実施した「平成23年通信利用動向調査」によると20代で44.9%、30代で28.9%と高い普及率であるのに対して、50代では9.3%、60歳以上においてはわずか1.5%の普及率となっている(図1)。ただし、この普及率はインターネット利用者の中で、スマートフォン経由でインターネットにアクセスしている人の割合でありインターネットを利用していない人も含めた全人口における普及率はさらに低いことを意味する。インターネットの利用率自体も20代、30代に比べて50代、60代以上は低いことを考慮すると、スマートフォンの利用率の格差はさらに大きいと考えられる。

図1.スマートフォンの世代別インターネット人口普及率 主なネットスーパーとその分類出典:総務省「平成23年通信利用動向調査」

はたしてこの世代は、スマホ時代から取り残されてしまうのだろうか。一方、スマートフォンを提供するメーカーや通信キャリアは、高齢化社会に向けてエイジレスライフ世代の取り込みに積極的な姿勢を示している。NTTドコモは、2012年5月に夏向けのモデル19機種を発表したが、高齢者向けに使いやすさを追求した富士通製の「らくらくスマートフォン」や、インターネット上の膨大な情報を基に質問に答える「しゃべってコンシェル」の機能強化は、まさにこの世代を意識した動きといえよう。ちなみに、ドコモはこの際、「iモード」に対応した従来型携帯電話の新機種は発表しておらず、明らかにスマホシフトの戦略がみられる。3年後には、「そういえば昔のケータイって、ボタンがついてたよね」といった会話が聞かれるかもしれない。

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