第35回
電子マネー活用法
2012.10.16 [内山 悟志]
電子マネーの発行枚数は着実に増加を続け、決済金額や件数も増加を続けている。身近な小口決済手段として浸透しつつあるが、その普及状況は地域(都市部・地方)や年代によって大きな開きがある。電子マネーは快適な生活シーンにどのように貢献するのだろうか。
電子マネーの普及状況
電子的な小口決済手段にはいくつかのタイプがあるが、一般に「電子マネー」と呼ばれるものは、利用する前にチャージを行うプリペイド方式(前払方式)の電子的小口決済手段を指している。現在、非接触型のICカード技術を用いたIC型電子マネーが主流であり、発行元によって専業系(楽天Edyなど)、鉄道会社などが発行する交通系(Suica、ICOCA、PASMOなど)、小売流通企業が発行する流通系(nanaco、WAONなど)の3種に大別することができる。日本ではソニーが開発した非接触型ICチップ通信技術であるFelicaを採用したものが多く、形状はカード型に加えてサイフケータイに対応した携帯電話やスマートフォンに搭載したものなどがある。
日本銀行の調査によると、電子マネーの発行枚数は2011年6月時点で1億5千万枚を超え、端末台数も100万台に近付いているとしている。また、同時点で月間決済金額は1,637億円、月間決済件数では1億9,400万件といずれも2008年からの3年間で3倍以上の規模に成長している。
一方で電子マネー普及の地域および年代格差も指摘されている。総務省の「家計消費状況調査」(2012年8月発表)によると、二人以上の世帯における電子マネーの保有率は、全国平均で37.4%となっているが、地域別にみると関東が最も高く56.1%に達しているのに対して、最も低い四国では16.0%にとどまっている。都市階級別にみても大都市で50.2%であるのに対して、最も小規模な小都市B・町村では22.9%にとどまっている(図1)。
図1.都市階級別にみる電子マネーの保有状況(2011年、二人以上の世帯) 出典:総務省の「家計消費状況調査」(2012年8月発表)
また、前述の日本銀行の調査によると、1,000円以下の少額決済における電子マネーの利用率は、20代から40代が10%前後であるのに対して、50代では5%未満、60歳以上では3%未満と年代別の開きも大きいことを示している。
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