第41回
カーシェアリングのコスト・シミュレーション(1)
2013.01.22 [内山 悟志]
コスト比較の試算結果
それでは、一定の条件を設定してレンタカーとカーシェアの料金を比較してみることとしよう。
まず、レンタカーはニッポンレンタカーの無料登録会員であるスーパーレッドメンバーのメンバー料金で、カーシェアリングで一般的に採用されているフィットやデミオといったコンパクトカー(S-Sクラス)をロードサービスや返車時間超過安心サービスなどのついた安心コースで借りることとする。20km(新宿-上野間の往復に相当)を走行することとし、コンパクトカーの平均燃費とガソリン代相場を基にガソリン代を加算した。
カーシェアリングは、オリックスカーシェアの会員となり同様のコンパクトカーを利用することを想定している。オリックスカーシェアでは、月額基本料2,000円を支払って割安の時間料金が利用できる個人プランAと、業界では珍しく時間料金は割高だが月額基本料がゼロの個人プランBの2つのプランを用意している。個人プランAでは月額基本料がかかるため、月1回利用することを想定して2,000円を加算した。どちらのプランでも同じく20km走行することを想定し、距離料金300円(1kmあたり15円)を加算した。
ちなみに、この距離料金の1kmあたり15円という価格設定はどうなのであろうか。コンパクトカーの平均燃費(国土交通省自動車燃費一覧から試算)が18.92円/km、ガソリン代相場(東京での2012年12月時点)が137円/ℓで計算すると1km走行あたり7.24円となるため、レンタカーのように自分で給油するよりも2倍の金額となる。給油の手間を考慮してもやや割高感があることから、長距離の利用が多い場合はレンタカーの方がお得になることが多いと考えられる。
これらの前提条件を設定して、1回利用する際の利用時間と料金をシミュレーションした結果を図1に示す。
6時間以下の利用であれば、カーシェアリングのどちらのプランもレンタカーよりも安価となる。短時間の利用が多いという利用者の場合はカーシェアリングの方がお得ということだ。月額基本料がかからない個人プランBにおいては、6時間を超えるとレンタカーよりも割高となる。一方、月額利用料を支払う個人プランAの場合は、7時間から25時間まではレンタカーよりも割高だが、26時間を超えると逆転しカーシェアリングの方に軍配があがる結果となった。しかし、これはあくまでもカーシェアリングを月1回利用した場合の比較であり、それほど頻繁に利用しない場合は、月額基本料の負担割合が大きくなるため損益分岐点は変わってくる。逆に、月一回以上利用するというのであれば、月額基本料の加算分は減少し、カーシェアリングの個人プランAが割安となるケースが増える。利用回数による損益分岐点の変化については、次回その利用シーンとあわせて紹介することとしよう。
図1.利用時間にみるカーシェアリングとレンタカーのコスト比較
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