内山悟志の骨太エイジレスライフのすすめ

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第16回
エイジレスライフと網社会

前回は、「エイジレスライフとネットの相性」と題して、エイジレスライフにもソーシャル・メディアやスマート・モバイル・デバイスの普及が影響を及ぼすことを述べたが、今回は、これを幅広く捉え社会全体における変容とその影響について述べる。

縦社会から横社会、そして網社会へ

まず昨今の社会的パラダイムにおける変容に目を向けてみよう。それまでは分散し、相互につながりを持たなかった人々が、FacebookやTwitterといったソーシャル・メディアを通じて自分たちの意見を同期化し、行動を調整し、その結果を記録して発信できるようになった。このような現象は世界のあらゆるところで大きな社会的変動を呼び起こしている。チュニジアやエジプトでの革命、リビアの反体制派、イエメン、バーレーンの民衆の行動は、まさに情報格差に基づく「縦社会」の崩壊を意味するのではないだろうか。

図1.社会的パラダイムの変容

縦社会では、情報の流れは上位の者によってコントロールされ、下位の者からは他の社会は見えず、個人間のつながりは狭い範囲に限定される。一方、情報の共有や交換が進むと、情報格差が縮小し、他の社会や他者の考えに触れる機会が増大し、横社会が形成されていく。横社会では、情報格差は縮小し、上位の者よりも下位の者の方が豊富な情報を持つという逆転現象も起こり得る。さらに情報の透過性が高まると、求心力を持つ複数の個人がハブの役割を担い、網社会が形成される。ソーシャル・メディアを中心としたテクノロジーの台頭が、企業、消費者、地域社会、グローバル社会などのあらゆる場面において縦社会から横社会へ、そして網社会へのシフトを加速している。

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