内山悟志の悠々快適エイジレスライフ

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第39回
シチリアの歴史探訪(その1)

ゴールデンウイークを利用してシチリアを旅した。シチリアは、自然に恵まれた地中海最大の島であるが、紀元前から多数の国に支配されてきた複雑で独自の歴史を持つ地域でもある。今回は、その歴史に着目してシチリアの魅力を紹介しよう。

友人に「シチリアに行ってきた」というと「シチリアってどこだっけ?」という反応が結構多い。シチリアは、イタリアに5つある特別自治州のひとつであるシチリア自治州に属している。イタリアの地形はよく長靴に喩えられるが、そのつま先の前の部分に位置する。地中海最大の島であるが、その大きさは約25,000km²と、四国よりも大きく九州よりも小さい。人口も約500万人と四国よりも少し多く、九州の半分以下だ。国際空港はシチリア島西部に位置する州都で最大の都市であるパレルモと、東部に位置し第二の都市であるカターニャの2つがある。日本からシチリアへの直行便はなく、イタリア本土や他のヨーロッパの主要な国際空港を経由するのが一般的な行き方となる。今回筆者はトルコ航空のイスタンブール経由を利用したためイタリア本土には足を踏み入れることなくカターチャ空港に降り立った。成田空港からイスタンブールまでが約12時間、待ち時間2時間程度でイスタンブールからカターニャまでが約2時間なので、全行程で16時間くらいの移動となる。

シチリアには、由緒ある建造物や史跡が非常に多く残されており、歴史を探訪するのも旅の楽しみの1つだ。古代ローマの王政は紀元前753年からとされるが、シチリアにはそれ以前からイタリア本土から移住したシクリ人などが住んでいたという。その後、1860年のイタリア統一でイタリアに統合されるまでの長きにわたって、ギリシャ人植民市、カルタゴの支配、ローマの属州、ゲルマン人の支配、ビザンツ領、イスラームの支配、ノルマン朝、シュタウフェン朝、アンジュー家(フランス)の支配、アラゴンの支配、スペイン領など占領と支配の歴史を繰り返してきた。
今回の旅で島東部を中心にいくつかの史跡を巡ったので、歴史的には順不同となるがそれらを訪問した順に紹介する。ちなみに、イタリアでは自動車のほとんどはマニュアル車であり、筆者もオペルのコンパクトカーをレンタルしたが、何十年ぶりという慣れないマニュアル車に悪戦苦闘しながら6日間で約1,200kmを走行した。

テアトロ・グレーコの最上段席からエトナ山を望む

まず訪れたのは、北西部に位置するタオルミーナという人口1万人の小さな町だ。タウロ山の中腹に位置し、地中海とエトナ山を見渡すことができる風光明媚な街で、古代ギリシャやローマ帝国の時代の神殿や遺跡が多いことから古くから観光地となっている。映画「グランブルー」の舞台となったこともあり高級リゾート地としても知られる。海岸から標高200mのタオルミーナの街まではロープウェイが15分間隔で運行しており5分で到着する。ドゥオーモ(教会堂)やメッシーナ門、コルヴァーヤ宮殿も有名だが最も印象に残ったのは古代ギリシャ時代の野外劇場「テアトロ・グレーコ」だ。眼下に広がる青い海、遠くにのぞむエトナ山という類いまれな借景を得て、イタリア屈指の絶景の地といわれる。ちなみに写真の野外劇場の奥にそびえているが地中海の島では最高峰のエトナ山である。ヨーロッパ最大の活火山であり、現在でも断続的に噴火している。標高は3,326mであり富士山より少し低い。シチリアの人々は日本人が富士山を愛しているのと同様にエトナ山を愛しており、富士山より少し低いのが悔しいという。



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