第40回
シチリアの歴史探訪(その2)
2015.06.15 [内山 悟志]
サン・ジョルジョ聖堂から眺めるドゥオモ広場と街並み
次に訪れたのは、もう1つの世界遺産の町であるラグーザである。
ラグーザは、旧市街のラグーサ・イブラ(イブラ地区)と新市街のラグーサ・スペリオーレ(スペリオーレ地区)の2つに分かれている。サン・ジョルジョ聖堂を中心としたラグーザイブラと呼ばれる地区は、両側を渓谷に挟まれた細長い瓢箪形の丘の上に作られた町で、後期バロックの美しい建物が建ち並ぶ。大地震によって周辺の町々は壊滅的な打撃を被ったが、イブラ地区は奇跡的に大きな被害を免れたという。そのために、今でも曲がりくねった細道や入り組んだ路地が多く残っているのだそうだ。
イブラ地区のシンボルであるサン・ジョルジョ聖堂は、18世紀から19世紀の初めにかけて建てられたもので、入り口に震災前のゴシック様式の風情を残しているが、全体的には荘厳な後期バロック様式の建物である。250段の階段が続き、聖堂の前はドゥオモ広場が広がっており、その両側にはテラス席のカフェなどが建ち並んでいる。
サン・ジョルジョ聖堂の中に入ることができ、マリア像、壁に飾られた大きな絵画、ステンドグラスなどの美術品や装飾品を鑑賞することができる。
サン・ジョルジョ聖堂の内部の見事な装飾と美術品
のどかな田園地帯にあるドンナフガタ城
ラグーサ郊外南西約20キロの田園地帯にある広大な敷地を持つ城がドンナフガタ城である。19世紀後半にコッラード・アレッツォ男爵により建てられた農場の役割を兼ねた田舎の城で、別荘として使われていたと言われている。何回か改築されており、さまざまな建築様式が混在しているが、正面は20世紀初頭のネオ・ゴシック様式だそうだ。城の総面積は2,500㎡と広大で、城内には大きな庭園が広がり、非常に豪華な部屋が100室以上あるとのことだ。
城正面の左右には、かつての馬小屋、牛舎、納屋、農民の住居が長屋のように続いている。
広大な城の敷地の回りは、本当にのどかな田園風景が広がっている。
ラグーサ近郊は美味しいワインの産地でもある。シチリアは食材の宝庫でもある。このあたりは次回のグルメ編で紹介することとしよう。
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