第41回
シチリアのグルメ探訪
2015.07.16 [内山 悟志]
シチリアは食の宝庫でもある。前回までは、シチリアの史跡・名所とともに歴史について述べてきたが、今回は各地で食べた料理を紹介しながら、シチリアの食文化を探訪する。
シチリアは四方を海に囲まれ、3000m級の山もあり、四季に恵まれていることもあって豊富な食材が手に入る。また、アフリカに近い地理と、3000年に及ぶ幾多の征服支配の歴史という背景から、さまざまな地域の文化の影響を受け、独特の食文化を形成している。
ワインとオリーブが名産として知られるが、それ以外にも食材として良く使われるものとして、メカジキ、マグロ、イワシ、アサリなどの魚介類、ナス、ズッキーニなどの野菜、アーモンドやピスタチオといったナッツ類、リコッタチーズ、ドライトマトなどの加工食品など、数え上げればきりがない。
今回のシチリア旅行の目的の1つはグルメ探訪といっても過言ではない。シチリア島の東部を中心に、それぞれの地域の名産や代表的料理を巡った。
Cavatelli al sugo(カヴァテッリ・アル・スーゴ)
まずは、イタリアといえばパスタということで、シチリア南東部、ラグーサやモディカでよく見かけるメニューである「Cavatelli al sugo(カヴァテッリ・アル・スーゴ)」から紹介しよう。カヴァテッリは、ホットドッグを小さくしたような形のショートパスタで、スーゴは、イタリア語ではトマトソースを意味するが、シチリア南東部では「豚肉のトマトソース」を指す。カヴァテッリは真ん中に溝があるため、そこに具が絡みやすいのが特徴だ。濃厚なトマトソースとの相性の絶妙といえる。
炒ったパン粉が香ばしいイワシのパスタ
もう1つパスタを紹介しよう。イワシはシチリアでよく食べられる魚だ。イワシの腹の中に、松の実、レーズン、炒ったイタリアパン粉を詰めて香草焼きにしたベッカフィーコは、シチリアの代表的な郷土料理である。レーズンやナッツを使うのは、アラブの影響ということだそうだ。パスタにもイワシは用いられる。甘い香りで魚料理と相性抜群のため「魚のハーブ」と呼ばれるフェンネル(ウイキョウ)はイタリア語でfinocchioと呼ばれるが、これに、松の実、レーズン、炒ったイタリアパン粉、イワシなどを使ったパスタは絶品だ。
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