第44回
大人の社会科見学:藍染工房編
2015.10.01 [内山 悟志]
今回は、その中でも自然界からとれる原料のみを用いた「天然藍灰汁醗酵建(てんねんあいあくはっこうだて)」という染色方法にこだわった青梅市にある藍染工房「壺草苑(こそうえん)」を訪ねた。
天然の蒅(すくも)
明治時代後期から化学的な色素を合成して作られる合成藍の工業化が発展したことから、近年では、石油を原料にした色素を合成した「インディゴ」を使用し、苛性ソーダやハイドロなどの薬品を用いて作る液で染められたものが多くを占めているそうだ。天然藍灰汁醗酵建ては、日本の藍染の黄金期である江戸時代を中心に行われていた方法で、化学薬品を一切使わずに天然の材料だけを使うという。灰汁醗酵建ては、蒅と灰汁に加えて、日本酒、ふすま(小麦の外皮)、石灰を使用し、徐々に液を発酵させていき、1週間ほどで布を染められる状態になるのだそうだ。
地中に埋め込まれた深さ140cmの藍甕が8つ並ぶ
今では、天然藍を原料とする蒅を生産している藍師は全国にわずか5人程しかおらず、灰汁醗酵建ての藍染は全体の数%程度と言われるほど貴重なものだといわれている。
壺草苑に入るとまずギャラリーがあり、数多くの藍染作品が目に飛び込んでくる。その奥が工房になっており、職人さん達が働いている。
工房の中央には、深さ140cmという藍甕(あいがめ)が地中に埋め込まれるように8つ並んでいる。
体験者も職人さん達と同じこの甕の藍を使わせてもらって藍染め体験をすることができる。
素材をゴムや紐で結ぶ
苑の藍染め体験では、ハンカチやバンダナを染めるお手軽コース(1,600円~2,000円)と、綿ストールや半袖Tシャツを染めるじっくりコース(4,800円~5,200円)に加えて、ブラウスや薄手のワンピースなど綿や麻などの植物繊維を自分で持ち込んで染めるお持込みコースもある。
まずは、素材を選び輪ゴムや紐で結び目を作っていく。筆者は、ハンカチよりやや大きめのバンダナを選び、出来上がりの模様を想像しながら結び目を作っていった。天然の藍は、液につけたときではなく、液から取り出し、空気に触れて酸化することで色が変わり、布が染まるのだそうで、結び目の部分が空気に触れないために白く模様となって残るのである。
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