内山悟志の悠々快適エイジレスライフ

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第44回
大人の社会科見学:藍染工房編

藍甕の染液につけた後

さて、準備は整った。いよいよこの素材を藍甕につけて染めていく。液に布をつけながら、しっかりと布を広げて結び目でない部分に万遍なく液に触れるようにするのだが、これが結構難しい。藍甕の染液は見た目が真っ黒で、布を液につけると手元も素材も全く見えないからだ。見えないままで、隅々まで液に触れされなければならないので、ほぼ手探り状態といってよい。 しばらく液につけ、次に液から出して素早く広げて、これまた万遍なく空気に触れさせなければならない。1分ほどつけては液から出し、これを何回も繰り返し行う事で、少しずつ深い藍色に染まっていく。


結び目をほどいて広げれば完成

藍甕は温度の変化が少ないように地中に埋められているので、甕の液につける作業は、ほとんど地面に這いつくばるように行わなければならず、これが腰にくる。繰り返した分だけ深い藍色になるのだそうだが、自分が納得するまで何とか頑張って10回ほどつけては上げての作業を繰り返した。これを一日に何十回・何百回と行っている職人さんをあらためて尊敬した。さて、結び目をほどいて広げ、水洗いすれば完成だ。結び目を作った時にイメージしていた模様とは少し異なるが、それも手作りの醍醐味といえる。何よりも世界に1つだけの自分のオリジナルの作品ができたことが嬉しく、苦しい姿勢を繰り返した苦労が報われた気持ちになる。

これまで紹介してきたビール工場や酒蔵見学も楽しかったが、体験を形として残すことができたという点で、今回の藍染め体験が一番「体験した」という実感を持つことができた。都心から1時間程度の距離で、このような貴重な体験ができるとは感激だ。これからも、さまざまな社会科見学と体験にチャレンジしていきたい。

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