第51回
行き当たりばったり旅の魅力
2016.05.20 [内山 悟志]
これまでにも、「路線バスだけでどこまで行けるか!やってみた」「一日乗車券を使って都内観光を楽しむ」「一歩一円で大人のオリエンテーリングを楽しむ」など様々な旅の楽しみ方を紹介してきたが、今回はその究極ともいえる「行き当たりばったり旅」の体験談を紹介しよう。
まず、なぜ今回「行き当たりばったり旅」を敢行したのかについての経緯を紹介しておこう。簡単に言うと、ゴールデンウイークの後半に特にすることがなかったからだ。いつものように地元の飲み友達と飲んでいる時、「暇だし、どこかに行きたいね」という話になって、じゃあとりあえず羽田空港に行ってみて、適当な空席を見つけて飛んでみようということになったのだ。確か大学生の頃に、NHKの新日本紀行を観ていて、「今からここに行こう」といって夜行列車に乗って京都に行ったことがあった。社会人になってこんな無計画なことをするとは思っていなかったが、やってしまった。
夕方6時半に羽田空港に集合し、出発予定便の電光掲示板を見る。その日の出発便なので、格安ツアーや早割が適用されることはない。念のため、スマホで探してみたがやはり割引料金で乗れる便などない。気を取り直して調べると19:50発の高松行きの便に空席があった。連休中で帰りの便が確保できるかどうかもわからないため、沖縄や離島はリスクが高い。高松であれば飛行機が満席の場合でも、岡山に出て、新幹線や高速バスなどの陸路で帰って来られるということで、行先は高松空港に決定した。しかし、高松空港の到着時間は21:10であり、まずは宿を確保しなければならない。出発ロビーでスマホを駆使して宿泊先を探した。どうせなら、温泉宿に泊まりたい。そこで、数少ない当日宿泊できる琴平の宿を見つけて、搭乗直前に電話で予約を取りつけることができた。
高松空港から琴平までのタクシーの車中で、遅くまで営業している飲食店を探し、宿には12時までにチェックインすると連絡して、まずは無事の到着を祝って乾杯し、丸亀発祥の名物である骨付き鶏などを堪能しながら、次の日の予定を話し合った。
金刀比羅宮本宮までの階段の中腹にて
琴平に来たからには、やはり金刀比羅宮にお参りせねばだし、香川県と言えば何といってもうどんを食べねばということはすぐに決まったが、その後のことは、また、その時に決めようという徹底した無計画ぶりだ。いつ帰るかさえ決まっていない。しかし、この頃には翌日帰るという考えはすっかり消えていて、せっかく香川まで来たのだからもう1泊して行こうということになり、翌日も琴平で別の温泉旅館をネット予約した。
その日は、予定どおり深夜12時直前にチャックインし、温泉に入ってさらに部屋飲みをして就寝した。
素泊まりのため、朝食は金刀比羅宮までの道すがら見つけたうどん店で腹ごしらえをして、金刀比羅宮に向かった。さて、参道の石段は本宮までは785段、奥社まで登ると1368段にもなる。不摂生な酒飲み達は、奥社はあきらめて本宮に手を合わせて降りてきたら11時を過ぎていた。そろそろ、今後の予定を決めなくてはならない。そもそも何泊するか、そして帰りのルートさえ決めていない。
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