第3回
こういうオジサンたちが日本を背負ってきた
~映画「エンディングノート」から~
2011.10.11 [松本 すみ子]
10月1日からロードショー公開されているドキュメンタリー映画『エンディングノート』。7月半ばに試写会で見たのですが、紹介記事を書こうと思っているうちに、いつの間にか10月。いまさら遅いとは思いつつも、シニア世代にはおすすめの映画なので、やはり紹介しておきたいと思います。ご家族でご覧になってはいかがでしょう。
人生最後のプロジェクト
主人公は日本の高度成長期を支えた元熱血営業マン・砂田知昭さん。会社員時代は「段取り命!」のモーレツ社員。自らを「こういうオジサンたちが日本を背負ってきたんだよ」というほど、会社人生にはプライドを持って生きてきました。いますね、こういう人!
その砂田さんも67歳を迎え、40年以上勤めた会社を退職することに。さあ、これからは第2の人生を謳歌するぞ!と思ったその矢先、胃ガンが発見されるのです。ガンはすでに第4ステージまで進んでいて、余命半年の告知。
愕然とする砂田さんの表情はもちろんですが、それを知った奥さんの憮然たる様子が印象的です。「仕事だ、接待ゴルフだと、ほとんど家にいなくて、やっと自由な時間ができたと思ったら、ガンになって先に死んでいく...」。この世代、同じような思いの奥さんも多いのではないでしょうか。まったく、日本の男っていうのは!
抗がん剤投与の治療が始まりました。しかし、段取りマンの砂田さんが本領を発揮したのはここから。残された家族のため、自分の人生の総括のために、人生最後のプロジェクトに取りかかるのです。そのプロジェクトとは、死に至るまでの段取りを記入したエンディングノートを作成すること、そして、すべての目標を成し遂げること。そのために最後の力をふり絞ります。「自分の人生をきちんとデッサンしておかないと、残された家族が困るでしょうから」
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