第3回
こういうオジサンたちが日本を背負ってきた
~映画「エンディングノート」から~
2011.10.11 [松本 すみ子]
家族ならではの記録
死のその時まで前向きに生きようとする砂田さんの姿を記録していたのは、このドキュメンタリーの監督でもある次女の麻美さんです。麻美さんはフリーの監督助手として、是枝裕和監督の元でドキュメンタリーを学んでいました。でも、麻美さんは砂田さんがガンになってから撮り始めたのではありません。普段からカメラで父を追い回していたといいます。日本のお父さんの典型のようなお父さんを、娘は愛していたのでしょうね。
だから、まだ元気だった父が「こういうオジサンたちが日本を背負ってきたんだよ」と語る姿も取り入れることができたのです。この映画、一人の男性の死に至るまでのひたむきさを記録したものに間違いありませんが、究極の家族愛を描いたものという気がします。娘は、死と向かい合いながらも、持ち前のユーモア精神を失わない父親と、彼を見守り続ける家族の絆をみごとに描き切りました。
誰もが家族を亡くすという経験をします。愛する人を亡くした後は、どのような状況であれ、もっとああすればよかった、こうしてあげればよかったと後悔します。でも、愛する人の最後の濃密な人生を記録として残せたことで、この家族には大きな安堵感もあるのかもしれません。また、誰もがいずれは死にます。その時、心残りなく死ぬことができるでしょうか。そのどちらも成し遂げようとしたこの家族はなんて幸せな家族なのでしょう。
上映劇場情報などはサイトでご確認ください。
「エンディングノート」公式サイト → http://www.ending-note.com/
コメント