松本すみ子の「@シニア」

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第6回
シニア向け大規模イベントが同日開催!

11月はシニア向けイベントの開催が目につきます。2007年ごろは、団塊世代の定年退職に伴い、団塊市場狙いの大掛かりなイベントがいくつか開催されていました。しかし、どのイベントも、いつの間にか中止。しかし、ここにきて、再び、シニア市場を意識したイベントが開催されるようになってきました。そして、この秋、二つのイベントの開催日がまったく同じという事態が発生しました。

このイベントは「エキスポスーパー65プラス」(※)「プラチナフェスタ」(※)。どちらも今年が初めての開催で、日程は11月15日(火)~17日(木)と完全に重なっています。会場こそ、「S65+」が千葉の幕張エッセ、「プラチナフェスタ」は科学技術館と違いますが、入場料はどちらも2000円。なぜ、こんなことに?

「エキスポS65+」と「プラチナフェスタ」

まずは、「S65+」の内容を見てみましょう。主催社は展示会やイベントの企画運営会社になっていますが、会社概要には三菱総合研究所が設立した「プラチナ社会研究会」の名前があり、推進母体が三菱総研であることは間違いないでしょう。特別協力団体として「高齢社会NGO連携協議会」が登場しています。ここは評論家で、「NPO法人高齢社会を支える女性の会」の理事長を務める樋口恵子さんや「さわやか福祉財団」の堀田力さんが代表を務めている会。信頼できる主催者といえるでしょう。

3日間のプログラムには、キャスターの鳥越俊太郎さんや料理の服部幸慶さんなどが登場するステージ、シニア世代の生き方を著名人や活動団体が登場する講演、企業の展示ブースやPRコーナーなどが記載されています。その中に、展示や交流、スポーツイベントなどが散りばめてあるという構成です。出展企業は約40社。

注目すべきは、「S65+」と65歳以上を意味したネーミングであること。以前なら、「50歳以上」あるいは「S50+」としたはずです。いまだに、中高年向けにはそうしたネーミングが残っています。しかし、あと3年もすれば団塊の世代の全員が65歳になります。もはやターゲットを絞ってしまっても支障はないという判断だったのでしょう。

かたや、「プラチナフェスタ」。主催者は「一般社団法人プラチナ地域文化会議」。なんだろう、これ?という感じです。たどっていくと、なんと、こんな文面に出会いました。

三菱総合研究所の提唱する未来社会作り構想「プラチナ社会ビジョン」に賛同した数名の個人が、プラチナ社会研究会の主催するプロジェクト提案・発表会にて、高齢社会を人間起点の元気なものにするため、第二の人生を活き活きと生きた市民を評価、表彰する「プラチナ文化大賞」を提唱。同研究会からプロジェクトの組成支援を受け、市民側から提唱されるプロジェクトを推進、支援するための活動のプラットフォームとしての機能を果たすことを目的とする市民側の受け皿として社団法人化し、活動を始めました。

ということは、この二つのイベントの出どころは同じなのです。しかし、お互いに牽制し合っていることは、それぞれのWebページのトップに「両イベントは関係ありません」と記載されていることでも分かります。

「プラチナフェスタ」の後援者には経済産業省、文部科学省、総務省、東京都、千葉県と行政や自治体の名前が並んでいます。協賛にも東京や千葉、神奈川の老人クラブ連合会の名前が並んでいます。こちらの信用も問題はないようです。であれば、一緒に開催するという選択肢はなかったのでしょうか。

「プラチナフェスタ」の特徴は「被災地復興支援」を掲げていること。なので、小池百合子さんのエコや高齢者問題をテーマとした講演、チャリティーオークション、起業3年以内の地域ビジネスのマッチングコンペ、大人の文化祭と題したNPO、サークルなどの文化作品発表・展示が主な内容となっています。来場予想数は5万名で、かなり強気の読みです。

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