第7回
シニア向けイベント、成功への課題
2011.12.13 [松本 すみ子]
前回は、「エキスポスーパー65プラス」と「輝け!プラチナフェスタ」というシニア向け大規模イベントが久しぶりに開催されること、そして、両イベントがまったく同じ日程で開催されることの不思議などを紹介しました。今回はその見学記です。
結論からいえば、初回ということもあって、どちらも準備不足、PR不足の感はいなめず、会場が賑わっていたとはお世辞にも言えません。開催目的のぶれも見うけられました。もったいないなあというのが率直な印象。こうしたイベントでシニアの需要と企業活動を結び付けることができれば、企業だけでなく、シニア自身にとっても、また、超高齢社会・日本のためにもよいことのはずです。今後も継続して開催し、成功に繋げるためには、どのような課題があるのか。それも探ってみました。
シニアの生き生きした顔が見えた「エキスポスーパー65プラス」
「エキスポスーパー65プラス」(※) の会場・幕張メッセに到着したのは、初日11月15日の午後1時過ぎ。見渡したところ来場者はまばら。ただ、講演やセミナーなどが3カ所で行われており、そちらにも参加者が行っている模様。確かに、「高齢社会NGO連携協議会」が主催した「地域で支え合うシニア」のシンポジウムには人が集まっていました。
まずは企業などの出展ブースを回ることに。主催者の発表では、今年は70の企業・団体が参加したとか。こういうイベントで私が注目するのは、シニア向け便利商品を展示・実演する中小ブース。掘り出し物や面白い製品・サービスがある場合も。ブースの説明員は経営者自らが担当する場合が多く、説明は熱心で丁寧。話を聞かない手はありません。
次いで、午後2時30分からはシニアファッションショー「いよよ華やぐ」。ブースは一通り回ってしまったので、休憩も兼ねて写真でも撮っておくかと、会場へ。正直言って、シニアのファッションショーにはあまり関心がなく、ちょっとだけ覗いて帰るつもりでした。
ところが! 最後まで見いるはめに。登場するモデルさんたちはもちろん全員素人のシニアですが、皆さん、ポーズも決まり、なかなか。相当、練習したのでしょうね。なんだか微笑ましい。自分たちで作り上げたという洋服もかなりのセンスです。この会場で最も輝いていたのは、このように、自ら参加し、アピールできた方々だったのかもしれません。そうした姿をじっくり見て、提供者はシニアが本当に求めているものは何かを発想するためのヒントにしないといけないのでは?
とはいえ、来場者数は主催者が予定した3万人には遠かったのではないでしょうか。終了後にWebサイトが更新されていないことも残念です。最初から、思い通りにはいかないもの。まして、シニアマーケットは難しいのです。だからこそ、今後のためにも、開催報告はきちんと行い、出展企業やシニア世代の理解を得る努力が必要なのではないかと思います。
「エキスポスーパー65プラス」第2回は、2012年5月17日(木)~19日(土)に、同じ幕張メッセで開催することが決定しています。土曜日を絡めたことはいい選択です。ただ、会場が問題です。ビジネスマンはイベントやフェアというと、使い勝手のいい幕張メッセを真っ先に思い浮かべるのかもしれません。しかし、65歳以上のリタイアした方々が、自宅からわざわざ出かける場所としてはどうでしょうか。また、強風などで、このラインは電車がよく止まります。シニア来場者のための会場選択の気配りは必須です。
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