松本すみ子の「@シニア」

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第9回
シニアに便利なコンビニとは?

店舗は落ち着いた雰囲気

さて、ファミマの「おとなコンビニ」の店内に足を踏み入れると、なるほど、板張りの床や光が柔らかなつり下げ式の照明など、従来のコンビニよりも落ち着いた大人の雰囲気。「蔦屋書店」とは自由に行き来ができます。ここで売れた商品は他のファミマ店舗にも展開されていくそうです。

酒類の棚が一番高級そうだった

店内を一巡してみました。ワインをたくさん揃えてあると聞いていたので、お酒売り場に行くと、確かに、コンビニとは思えない品ぞろえ、約60種類ほどあるそうです。食品や無印料品のコーナーがあったり、それほど他と違った品揃えとは思えませんが、ところどころに「おとなコンビニ研究所」のマークがついた商品が並んだ棚がありました。これが中高年向けに開発された商品のようです。私も、いくつか購入してみました。商品単価は1割ほど通常店よりも高いそうですが、私たち世代にはそれほど高い感じではありません。
イートインスペースがあるというので、興味津々でしたが、これは期待したほどのものではありませんでした。中高年向けには、もっと落ち着いた椅子やテーブルがほしい。案の定、座っているのは若者ばかりでした。店員ももう少し大人の方々でもよかったかも。

コンビニの役割は地域密着

ところで、大人向けの品ぞろえと店舗設計をしたアンテナショップは、「おとな=中高年」にたくさん来てもらって、成果を見るためのものです。そういう意味で、このファミマの「おとなコンビニ」はどうなのでしょうか。
私が行ったのは平日の午後2時ごろ。こんな時間でもさすがに代官山、たくさんの人がいます。しかし、ほとんどがカップルの若者か、家族連れでした。「おとなコンビニ」にしばらくいて、中高年のお客さんはどのくらい来るのかを見ていましたが、30分ほどの間、中高年らしき人お客さんは私一人だったのでは。これでアンテナショップの役割が果たせているのでしょうか。
外に出た後もしばし周りをうろうろしましたが、それらしき人を見かけたのは、カメラを抱えたリタイア世代と思える男性(話題の場所を撮影に来たカメラ好きオジサン)と、やはり見に来てみたという感じの女性が一人。CCCはどういう基準で「おとなコンビニ」の場所に代官山を選んだのか、疑問です。

循環バス「トランセ」

帰りは代官山駅まで戻るのが面倒(結構、距離があります)なので、渋谷と代官山を循環しているミニバス「東急トランセ」に乗りました。トランセは代官山近辺の青葉台や南平台という住宅地を通ります。一律150円で、運転手はすべてベテランらしき女性。しかも、青葉台2丁目あたりの細い路地をぐるぐる回り、停留所に限らず、どこでも降ろしてくれるのです。便利!
この昔からの高級住宅地に住んでいるのは、今や、多くは中高年世代。広い住宅地であるだけに、おそらく日常の買物は不便なはず。車がないと動きにくく、実は買物難民が増えそうな地域ではないかと思います。そこに東急バス(自治体との共同運営かもしれませんが)は目をつけたということでしょう。
「おとなコンビニ」も、そうした手法を学ぶ必要があるのではないでしょうか。せっかく、代官山につくったのですから、その地域の特性をよく調べる必要があります。トランセと組んで来てもらう工夫をするのもいいかも。コンビニはもともと、遠くからわざわざ買いに来るような店ではありません。地域に密着してこそのコンビニなのです。

*松本すみ子のルート“60’s”
http://www.arias.co.jp/news/2011/029.html

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